2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24570262
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
恒次 祐子 独立行政法人森林総合研究所, 構造利用研究領域, 主任研究員 (00360397)
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Keywords | 近赤外分光分析法 / 心拍変動性解析 / α-ピネン / リモネン |
Research Abstract |
平成23年度までに行った研究において,木材に含まれるにおい成分のうちα-ピネンのにおいにより乳児において心拍数が低下する可能性を明らかにした。本研究では引き続きデータを蓄積するとともに,繰り返し測定を行い,乳児の成長に伴う反応の変化を明らかにすることを目的としている。 今年度実施した実験では被験者は日齢79日±21日の乳児12名とし,生後4か月前後となるまでに概ね2週間ごとに測定を繰り返した。測定回数はのべ33回であった。α-ピネン(100μl),リモネン(40μl),イソメチルαイオノン(10μl)をそれぞれをろ紙に含浸させ,弱い送風によりにおいを呈示した。対照は空気とし,呈示順は対照を含めてランダムとした。まず安静を2分間取り,その後におい呈示を2分間,続いて再度安静を2分間取った。その間心電図 (心拍数ならびに交感神経系活動,副交感神経系活動評価のため)と脳血液動態を連続的に測定した。 これらのデータと昨年度までのデータとをあわせ,α-ピネン,リモネン,空気(対照)について57名のデータを解析対象とした。1回め(各被験者の初回)の測定についてにおい間の比較を行ったところ,α-ピネンでのみにおい呈示により心拍数の有意な低下が認められた(p<0.05)。これはこれまでの結果を支持しており,α-ピネンによる効果が確認されたといえる。また繰り返しによる効果をにおい呈示中の心拍数の平均値を用いて検討したところ,繰り返しの回数と心拍数との間に有意な相関が認められ(p<0.01),測定の繰り返に伴い心拍数が有意に低下した。安静時に対するにおい呈示時の心拍数の変化量(におい呈示時心拍数-安静時心拍数)ではこの相関は認められなかったため,これは成長に伴う心拍数の低下と関連している可能性がある。ただし入眠・啼泣によるデータ欠損も多く,引き続きデータの精査と蓄積を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標であった乳児における繰り返し測定に着手し,途中段階でのデータ解析を行うことができた。さらに今年度の目標としていた学会発表も国内大会,国際会議の両方で行った。したがっておおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き月齢約1か月の乳児を対象ににおいに対する生理的な応答を測定する実験を実施する。また来年度が最終年度であるのでこれまでに蓄積したデータの解析を進め、国際学会にて発表することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究協力者が約1年間の産休・育休を取得したため,実験の一部を延期したことから,物品費,旅費,謝金の一部を次年度使用とした。 研究協力者の職務復帰に伴い実験を実施する計画であるため,物品費,旅費,謝金として使用する。
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Research Products
(3 results)