2014 Fiscal Year Annual Research Report
栽培きのこ類子実体の発達異常の原因遺伝子同定と検出マーカーの開発
Project/Area Number |
24580007
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松本 晃幸 鳥取大学, 農学部, 教授 (60132825)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 形態形成 / 食用きのこ / 突然変異 / 遺伝子 / 育種学 / 担子菌類 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国特用林産物の基幹作物である食用きのこ類の生産現場における原因の特定できない子実体の奇形化は、経済的損失につながる重大な問題である。しかしながら、この現象の遺伝的な背景については明らかでない。このため、本課題では、奇形化現象のひとつと考えられる子実体が発生後、正常に傘と柄の分化を行うことができないウスヒラタケ(Pleurotus pulmonarius)の自然突然変異体を材料として、この原因遺伝子を同定し、奇形化の遺伝的素質を明らかにする。そして、その結果に基づき、きのこ類育種および種菌製造過程における変異検出用DNAマーカーを開発することを目的とする。 連鎖マーカー情報に基づくマップベースクローニングおよび近縁種ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)のゲノムプロジェクトデータとのシンテニー解析による推定変異領域(約140kb)上の座乗遺伝子について、野生型と変異型の配列比較を行い、6遺伝子を原因遺伝子候補として絞り込んだ。さらに、このうちの1遺伝子について遺伝子破壊株作製に成功した。本年度は遺伝子破壊試験を継続するとともに作出した破壊株の栽培試験を実施し、加えて、遺伝分析用分離集団における変異型配列の分離を調査した。その結果、破壊株の表現型は野生型を示し、また4遺伝子では野生型での変異型配列の保有が認められたため、原因遺伝子候補は野生型と変異型で発現差があり、推定タンパク質をコードする1遺伝子に絞り込まれた。今後、本遺伝子の当該変異との関係を形質転換による相補試験および破壊試験により検証し、マーカー利用の可能性を明らかにしていく予定である。
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