2014 Fiscal Year Research-status Report
イネにおける全3雑種弱勢現象の多様性と普遍性の遺伝育種学
Project/Area Number |
24580009
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
一谷 勝之 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (10305162)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保山 勉 茨城大学, 農学部, 准教授 (10260506)
手塚 孝弘 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (20508808)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 生殖隔離 / 温度反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. Hwa1-1, Hwa2-1遺伝子の分布 生物研世界イネコアコレクション(WRC系統)における両遺伝子の分布を調査した.台中65号背景のHwa1-1, Hwa2-1遺伝子の準同質遺伝子系統を上記コアコレクションと交配し,その雑種第一代を水田で栽培した.Hwa1-1遺伝子は56のWRC系統中13系統に存在した.HWA2-1は57のWRC品種を調査したが,どの品種にも存在しなかった. 2. HWA1, HWA2遺伝子の候補領域 Hwa1-1をもつ品種A.D.T.14とHwa2-1遺伝子をもつP.T.B.7の全ゲノム配列を次世代シークエンサーで解読し,候補領域を抽出して解析を行い,公表されているDNA多型情報と比較することで,A.D.T.14, P.T.B.7に特異的なDNA塩基配列を見出した. A. D.T.14に特異的な塩基配列は,Hwa1-1遺伝子をもつWRC系統間で共有されていた.また,P.T.B.7に特異的なDNA塩基配列はコアコレクションには見出されなかった 3.候補遺伝子領域をカバーするFosmid genomic DNAライブラリーの作成 A.D.T.14, P.T.B.7から高純度のDNAを抽出し,両品種のFosmid genomic DNA libraryの作成に着手した.候補遺伝子が座乗する領域は,ゲノム情報がもっとも蓄積している品種 日本晴の情報に基づくと重複遺伝子や転位因子が多数存在する領域で,クローンの選抜に手間取っており,候補領域をカバーできるだけのクローン数にまだ達していない. 4. 生理学的解析 Hwa1-1, Hwa2-1によって生じる雑種弱勢を発現した植物体では,そうでない個体と比較し,病害抵抗性関連遺伝子の発現が増加し,光合成関連遺伝子の発現が減少していた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目標としていたHWA1, HWA2の同定にまだ達していない.その理由は,候補遺伝子が座乗する領域は日本晴の情報に基づくと重複遺伝子や転位因子が多数存在する領域で,クローンの選抜に手間取っており,候補領域をカバーできるだけのクローン数にまだ達していないためである.次世代シークエンサーによる情報に基づけば,イネゲノムの基準となる品種 日本晴のDNA塩基配列からかなり異なっていることが想定される.
|
Strategy for Future Research Activity |
候補遺伝子領域をカバーするFosmid genomic DNAライブラリーからのクローン選抜を引き続き行う.前述したようにゲノム情報がもっとも蓄積している品種 日本晴の情報に基づくと重複遺伝子や転位因子が多数存在する領域で,次世代シークエンサーによる全ゲノム解析では候補領域全体をカバーするように読むことができなかった.そのため,4-5万bpのDNA断片をクローン化して領域をカバーする戦略が最もよいと思われる.
|
Causes of Carryover |
HWA1, HWA2遺伝子同定に必要なFosmidクローンが,遺伝子座乗候補領域を十分にカバーするだけの数に達していなかったため,次世代シークエンサーによる委託塩基配列解読が実施できなかった.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
費用対効果を考え,HWA1, HWA2遺伝子同定に必要なFosmidクローンが,遺伝子座乗候補領域を十分にカバーするだけの数に達した段階で,多数のクローンをまとめて一度に次世代シークエンサーで解析する. 使用計画は 次世代シークエンサーによるDNA塩基配列解読委託に 55万円,論文校閲料 5万円,論文投稿料 5万円,遺伝子分析試薬 6万円を計画している.
|