2012 Fiscal Year Research-status Report
国外採集遺伝資源利用による省力化および環境ストレス耐性日本シバの開発
Project/Area Number |
24580012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
村田 達郎 東海大学, 農学部, 教授 (80140953)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本シバ / 種間雑種 / 組織培養 / 耐塩性 |
Research Abstract |
ニュージーランドから採集したZoysia minimaの形態学的調査を行った結果、葉幅・葉長ともにZ.tenuifoliaよりもさらに小さく、葉身における維管束配列を組織学的観察した結果、葉縁はC型(左右同型)であった。Z.minimaと他のZoysia属種との種間雑種系統の葉縁は、左右同型で肥厚した機械組織が葉縁大維管束を包む流線型のC-B型であることが明らかとなった。さらに雑種系統の花粉稔性を観察した結果,80%以上の高い花粉稔性率であり,多くの花粉は正常であることが示された。また,雑種系統を圃場で展開した結果、葉幅が狭く、穂の形態も小さくなり,草姿が小型化する傾向が見られた。今後,種間交雑によって草型を小型化する方向で育種を進める場合には、Z. minimaは有効な遺伝資源であることが明らかとなった。 Z. minimaの種子に由来するカルスからの高い再分化率は、LS基本培地に2,4-Dを比較的低い濃度(0.5 および1 mg/l)で添加した培地から得られたカルスで観察された。茎頂に由来するカルスからの高い再分化率は、1 mg/l 2,4-D添加培地で形成されたカルスを、比較的低い濃度(0.5 - 2.0 mg/l)の BAを添加した再分化培地に移植した場合に観察された。本研究で、茎頂から形成されたコンパクトカルスから植物体再分化に成功し、Z. mimimaにおいて茎頂は高い再分化率もたらす外植体であることが明らかとなった。さらに再分化が確認できたカルスに重イオンビーム(2.5, 5, 10, 25, 50Gy)を照射した結果、各線量で異なった形態を示す突然変異体を誘発することができた。 さらに耐塩性が高いZ.sinicaと他のZoysia属種と交配によって得られた種間雑種を育成した結果、耐塩性程度が高く、ターフを形成する優良個体を選抜することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Z. minimaの形態学的調査による種特異性形質の特定については、形態調査および組織学的研究も予定通り進展した。Z. minimaと他のZoysia属種との種間雑種における組織培養の利用については、再分化能の高いカルス誘導は確立できたものの、プロトプラストの培養条件の検討までは至らなかった。Z.minimaの茎頂由来カルスへの重イオンビーム照射による突然変異体の誘発は、順化の段階で枯死する個体が発生したが、変異体の作出には成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
Z. minimaの形態学的調査による種特異性形質の特定については、Z.minimaと他のZoysia属植物の外部形態をさらに詳細に比較するために、査型電子顕微鏡を用いて観察する。Z. minimaと他のZoysia属種との種間雑種を育成し、草丈,ランナーの伸長程度,被覆度などを調査して,芝草栽培の省力化につながる優良系統を選抜する。茎頂由来カルスへの重イオンビーム照射によって得られた突然変異体を鉢上げし,無照射区の再分化個体と形態的特徴(草丈,ランナーの伸長程度,被覆度)を比較しながら,突然変異の程度を調査する.Z.sinicaと他のZoysia属種との種間雑種によって作出された耐塩性系統の圃場試験を継続し、草丈が短くて、被覆度の高い系統を選抜する。選抜した系統については,増殖して系統保存を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、種間雑種育成における組織培養の利用において、プロトプラストの培養が予定通り実施できなかったために繰越金が生じた。次年度は、雑種育成のための農業資材、DNA分析および組織培養のための薬品・ガラス器具の購入等の消耗品を中心に研究費を使用する予定である。また旅費としては、研究成果の報告およびZoysia属の遺伝資源の収集に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)