2013 Fiscal Year Research-status Report
国外採集遺伝資源利用による省力化および環境ストレス耐性日本シバの開発
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24580012
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
村田 達郎 東海大学, 農学部, 教授 (80140953)
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Keywords | 日本シバ / 種間雑種 / 組織培養 / 耐塩性 |
Research Abstract |
Zoysia minimaカルスに重イオンビームを照射することで変異を誘導した再分化個体を対象とし、葉の形態を調査した。その結果、葉長は大型化、小型化の両方向への連続的な変異が検出された。そのためフローサイトメトリーにより倍数性を評価したところ、照射した5処理区のうち3処理区で倍加個体が検出され、特に10Gy照射区の倍加率は30%と高い値が示された。そこで倍加個体および非倍加個体の葉長を比較したところ、倍加と葉長変異の間に相関は認められず、さらに最も小型の葉長を示した個体が倍加個体であるなど、葉長の大型化は倍加によるものではないことが明らかとなった。また、耐寒性、被覆性を調査した結果、ともに向上している個体が検出され、本種においてイオンビーム照射による農業的に有用な変異誘導が可能であることが示された。 Z.minimaと他のZoysia 属種を交配して種間雑種作出を図ったところ、雑種種子を獲得することができ、実生個体を得た。これらの個体における草型,被覆度等の評価については次年度に実施する。 高耐塩性系統作出を目的としてZ.sinicaと他のZoysia属種との交配により作出された種間雑種から選抜された系統を対象として、耐塩性を評価したところ、7%NaCl溶液を30日間処理した実験区においても生存する高耐塩性系統を検出することができた。 Zoysia属種における雑種性の確認および遺伝的多様性を評価するために、葉組織からの簡易的な抽出法によるDNA単離、および得られたDNAを鋳型としたRAPDによる増幅を試みたところ、バンドの検出が可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Zoysia属の細胞融合により体細胞雑種の獲得については、研究を継続しているが、プロトプラストからの効率的な再分化条件を確定するには至っていない。しかし、 Z.minimaのカルスに重イオンビームを照射することで作出した変異個体および高耐塩性系統作出を目的としてZ.sinicaと他のZoysia属種との交配により作出された種間雑種の評価試験をほぼ計画通りに終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度作出されたZ.minima を交配親とした種間雑種個体における草型、被覆性などを調査し、栽培の省力化が可能な系統の選抜を実施する。また、選抜した系統における自殖系統を作出し、さらなる改良を試みる。 Z.sinicaを用いた種間雑種では、耐塩性の維持とさらなる形態改良を目的とし、選抜した雑種系統と、芝草として利用されているZ.japonica 、Z.matrellaとの間で、さらなる雑種系統の作出を図る。また、韓国、対馬および熊本県内で採集したZ.sinica系統を材料とし、RAPDおよびSSRによって検出されたDNA断片の結果を基に、これらの系統における遺伝的多様性の評価を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
組織培養を利用した雑種獲得において、効率よく培養個体を増殖することができ、予定より培養容器や薬品の量を削減することができたために残額が生じたことが、主な理由である。 今年度は、さらに培養個体が増加するので、培養関連の予算が昨年度より必要となり、効率よく予算を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)