2013 Fiscal Year Research-status Report
ハクサイ根こぶ病抵抗性modifier遺伝子の単離と機能解析
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24580015
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
畠山 勝徳 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜茶業研究所 野菜育種・ゲノム研究領域, 主任研究員 (60355625)
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Keywords | ハクサイ / 根こぶ病 / 抵抗性遺伝子 / DNAマーカー |
Research Abstract |
Crr2が座乗すると考えられる領域上に推定された4つのORFのうち、罹病性A9709のゲノム配列において3’非翻訳領域に約1.6kbの挿入が認められたORF3と5’非翻訳領域から第2エクソンの一部にわたって約590bpの欠失が認められたORF4について注目し、cDNA配列をレタス・ユビキチンプロモーターの下流に連結した遺伝子を作成し、シロイヌナズナに形質転換した。T2世代において導入遺伝子をホモに有する個体を選抜し、Crr1aを形質転換したシロイヌナズナと交配しF1を作出した。Wakayama-01菌による接種検定を行ったが、抵抗性を示す個体は見出されなかった。Crr2候補遺伝子の形質転換実験と平行して行っていたCrr1座の詳細マッピングの結果、Crr1座にはAno-01菌に対する抵抗性の主動的役割を担う遺伝子座Crr1aとこの座から約0.7cM離れた領域にマイナー効果を有する遺伝子座Crr1bが存在し(Suwabe et al. 2012)、Crr1aとCrr2を有する個体はWakayama-01菌に罹病し、Crr1bとCrr2を有する個体は抵抗性を示したことから、Crr2とともに抵抗性に寄与する遺伝子はCrr1aではなく、Crr1bであることが示唆された(松元ら 2012)。以上のことから、Crr1bがクローニングされていない現状では、シロイヌナズナを利用したCrr2候補遺伝子の機能証明は困難であると考えられた。そこで、G004とA9709のF2に由来し、Crr1座(Crr1a+Crr1b)のみをホモで有するF3系統を利用して、候補遺伝子をコマツナに導入した形質転換体と当該F3系統を交雑した後代を用いた機能証明を行うこととした。ORF3とORF4のゲノム断片をCrr1aプロモーターの下流に連結したコンストラクトを作成し、コマツナへの形質転換を開始した。また、4つのORF間の組換え個体を利用した絞り込みを行うために、各ORF間にindelマーカーを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初クローニング済みのCrr1a遺伝子を形質転換したシロイヌナズナを利用したCrr2候補遺伝子の機能証明を計画していたが、Crr2との共存による抵抗性の発揮には、Crr1aは寄与しないことが明らかになったため、形質転換体の作出や世代促進に時間を要するハクサイ類を利用した機能証明の方法に計画変更する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度作出した4つのORF間のindelマーカーを用いて、G004とA0709のF2数千個体からORF間の組換え個体をスクリーニングし、F3を抵抗性検定に供試する。ORFおよびCrr1bの遺伝子型と発病程度から候補遺伝子を絞り込む。また、Crr2候補ORFをコマツナに導入した形質転換体を作出し、Crr1座のみを有するハクサイF3系統と交雑したF1に、病原型の異なる根こぶ病菌株Ano-01、Wakayama-01を接種し、抵抗性の有無を調査する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額49,429円は、研究費を効率的に使用した結果生じた残額である。 本研究課題の推進のため、次年度の研究費は交付申請時の計画通り、物品費、旅費、人件費に使用する。なお、次年度使用額は、H26年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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