2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580017
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤野 介延 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80229020)
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Keywords | ダイズ / 裂莢 / Glycine max |
Research Abstract |
本研究において、QTL解析などにより,耐裂莢性関連遺伝子qPDH1の候補遺伝子をフェニルプロパノイド代謝に関連する遺伝子にほぼ特定した。しかしながらその機能・機作はアミノ酸配列の相同性から推定されているにすぎず,このqPDH1と裂莢機構との関連を明らかにするために多面的に解析を行なっている。 難・易裂莢性準同質遺伝子系統(NIL)におけるqPDH1の発現部位・発現時期を特定するためにRT-PCR法を用いた。莢の発達過程においてqPDH1候補遺伝子は難裂莢型では発現がみられず、易裂莢型では受粉後、2週から3週目の莢において発現が確認された。また易裂莢性NILの莢においてqPDH1候補遺伝子のin situハイブリダイゼーションを行ったところ、qPDH1候補遺伝子の発現が莢の厚壁細胞や柔組織において確認された。 ダイズの莢は乾燥に従って内側に捻れて捲くが、難・易裂莢性NILの莢はこの捻れ方が異なる。これは両系統間で莢の細胞壁成分が異なっていると考えらる。またqPDH1候補遺伝子がフェニルプロパノイド代謝に関連する遺伝子であると予測されるため、フェニルプロパノイド関連物質に注目し細胞壁の分析を行った。難・易両NILの発達中ならびに成熟した莢から80% メタノールでフェニルプロパノイドを含む分画を抽出し、HPLC で解析をしたところ、両NIL間で異なる割合のピークが見られたが予想される代謝産物のピークとは一致しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
25年度には難裂莢型と易裂莢型におけるqPDH1の発現部位・発現時期の解析をさらに進めた。qPDH1の発現部位の解析はRT-PCRやin situハイブリダイゼーション法を用いて行った。その結果、易裂莢型NILの莢においてqPDH1候補遺伝子が莢の厚壁組織で特異的に発現していることが確認された。また縫合部分の維管束冠においても発現が確認された。形質転換体の莢の形態・裂莢性に関する解析に関しては、莢の吸湿によるねじれの度合いや、切片の観察による細胞の収縮などを計測し、形質転換体は野生型(難裂莢型)と比較し乾燥によるねじれの度合いが高かった。 難・易裂莢性NILの細胞壁の解析、特にフェニルプロパノイド関連物質に関して、圃場で育成した両系統のダイズから莢を収穫し解析を行った。これらの莢からフェニルプロパノイド関連物質を含む分画の抽出を現在行っている。推定されたqPDH1代謝経路のin vitro における再現を試みるため、35Sプロモーターの下流にqPDH1候補遺伝子を挿入したベクターを構築しタバコBY-2培養細胞に形質転換を行なった。形質転換を行ったタバコBY-2培養細胞からRNAを調整し、RT-PCRを行った結果、目的の遺伝子が発現していることを確認した。 またシロイヌナズナにおいてqPDH1と相同性を示す遺伝子群の莢での発現様式を調べた。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度には莢の形態変化に大きく関与していると考えられる細胞壁組成、特にフェニルプロパノイド代謝物に関して解析を進める。裂莢性が異なるNILを圃場で育成し、収穫した莢からフェニルプロパノイド代謝物を含む分画を抽出しカラム分析を行う。それぞれのクロマトグラムを比較し、系統間で異なるピークの単離・物質の特定を行う。このようにして得られた結果を基にqPDH1 候補遺伝子産物の代謝経路を推定する。 推定されたqPDH1代謝経路のin vitro における再現を試みる。qPDH1候補遺伝子から活性を維持したタンパク質を調整するため、qPDH1候補遺伝子を形質転換したタバコBY-2培養細胞から発現タンパク質の精製を行う。qPDH1 発現タンパク質に代謝経路から予想される基質を与え、その代謝物(フェニルプロパノイド代謝物)をHPLC,GC/MS 等を用いて確認し、推定される代謝経路が正しいかどうか検討を行う。 またシロイヌナズナにおいてqPDH1と相同性を示す遺伝子群のうち、莢で発現するものの変異体を取得し、頴果の裂け方の解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度の研究ではqPDH1候補遺伝子がフェニルプロパノイド代謝に関連する遺伝子であると予測されるため、フェニルプロパノイド関連物質に注目し細胞壁の分析を行った。育成したNIL の発達中ならびに成熟したダイズ植物体の莢から抽出を行うが、開始した時期が25年度の後半であったため、当初の予定より作業が遅れている。また、qPDH1代謝経路のin vitro における再現のための形質転換体が得られたのが25年度の後半であったため、当初の予定より作業が遅れている。 26年度は圃場で収穫したダイズ莢からの抽出をさらに進めることと、形質転換した細胞からタンパク質を抽出し、in vitro におけるqPDH1代謝経路の確立に予算を充てる予定である。
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