2014 Fiscal Year Annual Research Report
輪作へのダイズ導入による土壌の窒素供給能の変動とその持続性
Project/Area Number |
24580019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山岸 順子 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (60191219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 謙介 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80391431)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 環境調和型農業 / 作付体系 / 無機化 / 無機態窒素 / 団粒構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイズ栽培においては、栽培後の土壌が肥沃化したとされる場合と、収奪されたとされる場合とがあり、そのメカニズムは未だ不明である。そこで、畑圃場を対象とし、通常の根粒着生ダイズと根粒非着生ダイズを用いてトウモロコシと比較しながら、ダイズ栽培の導入によって土壌の窒素供給力が増加(減少)する実態を確認し、それがダイズによる窒素の付加(収奪)によるのかそれとも窒素化合物の形態を変化させることによるのかを明らかにすることを目的とした。 その結果、ダイズが自身の成長に土壌中の窒素を多量に利用するにも関わらず、栽培終了後に多くの可給態窒素を土壌中に残すことが明らかとなった。残った無機態窒素の量は、根粒着生ダイズ>根粒非着生ダイズ>トウモロコシの順であり、このことはこの順で土壌窒素の無機化を促進していると考えられた。収穫期の土壌中の硝酸態窒素含有率も同様の順番であった。窒素固定を行わないダイズでもトウモロコシより高い効果を土壌に及ぼした。収穫期の土壌の団粒構造の破壊程度と総呼吸量の増加の割合は、ダイズの方がトウモロコシよりも高かった。土壌団粒は、マクロ団粒を破壊してミクロ団粒に分解すると土壌窒素の無機化が促進されることが知られている。また、土壌微生物バイオマスが増加すると土壌窒素の無機化量も増加することがわかっている。したがって、ダイズは土壌団粒の破壊と微生物バイオマスの増加を通して土壌窒素の無機化を促進していると考えられた。土壌窒素の無機化には微生物相の違いの影響も受けている可能性があると考えられた。また、ダイズおよびトウモロコシ栽培後のオオムギの生育は、根粒着生ダイズ>根粒非着生ダイズ>トウモロコシの跡地の順に良く、それは窒素吸収量の差によっていた。これらの結果は、年次間に差があるものの、圃場試験として望まれている3年間について概ね同様の結果が確認できた。
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