2012 Fiscal Year Research-status Report
圃場環境操作実験およびNMRメタボロミクスによる水稲代謝応答の解析
Project/Area Number |
24580029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
関山 恭代 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品分析研究領域, 任期付研究員 (60342804)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 食用作物 / NMRメタボロミクス |
Research Abstract |
目的:本課題では、圃場環境操作実験で栽培されたイネを対象に、核磁気共鳴(NMR) 法による代謝物の網羅的解析(メタボローム解析)を行い、CO2 濃度の上昇や温暖化といった気候変化が、イネの代謝プロファイルにおよぼす変化とその品種間差異を調べる。 方法および結果:開放系圃場において、CO2 濃度を増加させたFACE 区(CO2濃度約590 ppm)と対照区(CO2濃度約390 ppm)のそれぞれについて、温暖化を想定し水温をプラス2℃上げた加温区、さらに施肥の効果を検討するための低窒素区を設け、栄養生長期、穂ぞろい期および登熟期の3点でサンプリングを行った。本年度は、CO2濃度および栽培条件、生長段階の異なるコシヒカリ(平成23年産)について、部位別にNMR計測用の試料を調製し、そのうち350点について、メタノール混合緩衝液抽出物の1H-NMRスペクトルを取得した。得られた1H-NMRスペクトルについて主成分分析を行ったところ、栄養生長期の葉身および葉鞘については、葉齢によらず第1主成分がCO2濃度の影響を反映していると解釈された。一方で、高水温および低窒素の影響は見られなかった。穂ぞろい期および登熟期では、葉、茎、穎花等の部位の違いによらず、CO2 濃度や栽培条件の違いによるNMRスペクトルの変化は見られなかった。栄養生長期の試料について、2次元NMRスペクトルにより代謝物の同定を行ったところ、対照区に比べてFACE 区では糖が増加し、脂質が減少することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、NMR計測用試料の安定性、NMRスペクトルの計測条件および解析手法の検討に時間を要し、品種間差異の比較に至らなかった。 次年度以降は、当年度に確立した計測方法および解析手法を用いて、迅速に解析を進めることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、平成25年度以降に人工気象室での環境操作実験を行い、13C標識されたイネを作成し、多次元NMR法を活用した代謝物の同定を進める予定であった。 しかし、本研究の主要部分である品種間差異の解析が遅れていること、さらに、13C標識されたイネが昨年度から市販されたことを鑑み、人工気象室での環境操作実験を保留とし、圃場環境操作実験においての品種間差異および年次間差異の解析を優先的に進めることとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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