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2012 Fiscal Year Research-status Report

イネの高温登熟耐性遺伝子・QTLの特定

Research Project

Project/Area Number 24580030
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research Institution独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構

Principal Investigator

寺尾 富夫  独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター作物開発研究領域, 上席研究員 (80355578)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords高温登熟 / QTL / 玄米外観品質 / 遺伝子 / 地球温暖化
Research Abstract

近年、登熟時の高温により、米粒が白濁するいわゆる白未熟粒の発生により、米の品質低下が問題になっている。高温登熟に耐性の品種育成のため、高温登熟耐性に関与する遺伝子座の解明を行っており、インド型品種「ハバタキ」が高温でも白未熟粒の発生が少ないことから、ハバタキ・ササニシキ染色体断片置換系統を用いて高温登熟耐性を持つQTLの探索を行った。
ハバタキの第3染色体の一部を持つSL418をササニシキを戻し交配したF7分離後代のうち、高温登熟耐性QTLの候補領域付近で乗換えを起こした系統を選抜し、圃場で高温処理栽培して玄米品質を判別し、高温登熟耐性を持つ遺伝子領域を狭めた。
その結果、白未熟粒(乳白+基部+腹白+死米)は、マーカー125495-8近辺で高いLOD値を示し、相加効果はマイナスになった。このことは、この領域がハバタキ型の遺伝子型になることにより、白未熟粒割合が減少することを示している。また、その効果は、高温処理を行うことにより強まることから、このQTLを持っていない系統は高温で品質が著しく低下するのに対し、持っている系統では品質の低下が少ないことが分かった。このQTLについては、候補遺伝子が3個程度にまで絞り込めているが、栽培条件等による変動が大きいため、その領域のみを含む順同質遺伝子系統を作成しての検証が必要で有り、その作成を行っているところである。
また、同じ第3染色体だが、この白未熟粒のQTLとは異なった座乗位置に、ハバタキ型で整粒割合を増やすQTLが確認された。こちらは、高温登熟条件で強まるわけでは無いので、高温耐性のQTLではなく、品質向上のQTLと考えられるが、両者を持つことにより、より品質が向上すると考えられるため、両者およびそれぞれを導入した系統を作って解析を行う準備をしている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

高温登熟耐性QTLの絞り込みは順調に進んでおり、現在候補遺伝子は3個程度にまで絞れている。ただし、圃場で高温処理するため、毎年の登熟期気温が異なり、ある年の無処理が別の年の高温処理と同程度の気温になる等、環境条件の変動により効果が安定しないため、確証を得るのが難しい。グロースチャンバーでの高温処理を併用しているが、処理個体数に限度があるため、絞り込みに使うのは難しかった。しかし現在、候補領域を絞り込むことができ、また候補領域を狭い範囲で持つ準同質遺伝子系統が得られてきているため、グロースチャンバーで栽培可能な程度に少ない個体数で検定が可能になってきており、この問題点はほぼ解消したと考えられる。
また、もう一つの問題点は、当初1つであると考えていたQTLが、候補領域中に2つ以上存在する可能性が高まったことである。そのうちの1つは高温登熟耐性QTLであり、現在順調に絞り込めているが、もう一つの整粒割合を向上させるQTLに関しては、絞り込みを始めたばかりであり、当初計画以上の進展はない。しかし、このQTLが高温登熟耐性QTLと相互作用する可能性があり、両者を同時に、あるいはそれぞれに含む系統を作出して、効果を検証することを始めている。
既存の日本型高温登熟耐性品種にインド型品種であるハバタキが持つ高温登熟耐性遺伝子を導入してより高温耐性が高い系統を作る作業については、戻し交配を継続しており、予定通りである。

Strategy for Future Research Activity

高温登熟耐性QTLについては、更に高密度の乗り換え体探索を行い、絞り込みと同質遺伝子系統の作成を継続する。また、その同質遺伝子系統を用いて、高温登熟耐性の効果を検証する。
これに加えて、登熟中の穂での候補遺伝子の発現やその温度反応性を調べることにより、候補遺伝子の絞り込みを行う。また、候補遺伝子の発現抑制系統を作ってその効果を検証する。
整粒割合QTLと高温登熟耐性QTLを両方、あるいは一方を持つ系統を作出して、その相互作用、相加作用の解析を行う。
既存の日本型高温登熟耐性品種に、この高温登熟耐性QTLあるいは整粒割合QTLを導入してより高温耐性が高い系統を作る作業については、戻し交配を継続する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

該当なし

  • Research Products

    (5 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] Detection of Chromosomal Regions Affecting Iron Concentration in Rice Shoots Subjected to Excess Ferrous Iron Using Chromosomal Segment Substitution Lines between Japonica and Indica2012

    • Author(s)
      Akari Fukuda, Hiroyuki Shiratsuchi, Akira Fukushima, Hiromichi Yamaguchi, Hideyuki Mochida, Tomio Terao, Hitoshi Ogiwara
    • Journal Title

      Plant production Sci.

      Volume: 15(3) Pages: 183-191

    • DOI

      10.1626/pps.15.183

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] インド型イネ品種ハバタキが持つ高温登熟耐性と整粒割合に関与する染色体領域2013

    • Author(s)
      寺尾富夫、廣瀬竜郎
    • Organizer
      日本作物学会
    • Place of Presentation
      明治大学生田キャンパス
    • Year and Date
      20130328-20130329
  • [Presentation] イネ組織における遺伝子発現解析のためのRNA 増幅手法の検討2013

    • Author(s)
      廣瀬竜郎、寺尾富夫
    • Organizer
      日本作物学会
    • Place of Presentation
      明治大学生田キャンパス
    • Year and Date
      20130328-20130329
  • [Presentation] ハバタキ/Arroz da Terra交配系統を用いての水稲苗の低温下苗丈、葉緑素濃度に関するQTL解析2013

    • Author(s)
      福田あかり, 寺尾富夫
    • Organizer
      日本作物学会
    • Place of Presentation
      明治大学生田キャンパス
    • Year and Date
      20130328-20130329
  • [Presentation] コシヒカリ/kasalath染色体断片置換系統群による水稲苗の低温下葉緑素濃度に関する遺伝子座の検出2012

    • Author(s)
      福田あかり, 寺尾富夫
    • Organizer
      日本作物学会
    • Place of Presentation
      東北大学川内北キャンパス
    • Year and Date
      20120910-20120911

URL: 

Published: 2014-07-24  

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