2014 Fiscal Year Annual Research Report
水稲有機栽培における米ぬか散布のコナギ抑草機構の解明
Project/Area Number |
24580032
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
内野 彰 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター生産体系研究領域, 上席研究員 (20355316)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有機農業 / コナギ / 米ぬか / 有機酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、各種環境条件における抑草効果の評価として、土壌、米ぬか散布時期、遮光の影響に加えて水深と降雨の影響を評価した。抑草効果を示す候補物質の探索として、米ぬかの効果の異なる土壌の米ぬか散布後の土壌表層溶液を1週間毎に4週間目まで採取し、土壌表層溶液中の芳香族カルボン酸濃度を定量した。コナギ種子のバイオアッセイ系として安定した発芽試験系を確立するとともに、その試験系を使ってコナギ発芽抑制活性を測定した。 抑草効果に対して水深と降雨の影響はほとんど認められなかった。土壌表層溶液の測定では、米ぬか散布後2週間目の3-フェニルプロピオン酸に顕著な差異があった。コナギの発芽試験は、1.5mLのチューブに10粒から20粒を入れて30℃恒温12時間明条件あるいは25℃/15℃変温12時間明条件で試験を行うと安定した評価が可能であった。この系では種子表面の殺菌の有無が発芽率に影響を及ぼさなかった。5種の芳香族カルボン酸の中では3-フェニルプロピオン酸の阻害活性が最も高かったが、土壌表層溶液で認められた濃度では高い活性が認められなかった。5種の芳香族カルボン酸の組み合わせの活性を調べると、ほとんどの組み合わせで相乗効果が認められた。ただし土壌表層溶液中で認められた濃度の組み合わせでは高い発芽阻害活性が認められず、更に別の要因が関わっていると考えられた。 以上、研究期間を通した成果として、抑草効果に与える各種環境条件の影響が明らかになるとともに、抑草効果と高い相関を示す物質として3-フェニルプロピオン酸が同定された。しかしコナギ発芽阻害効果の認められた芳香族カルボン酸類について、土壌溶液中で認められた濃度で加えて発芽試験をしたところ、発芽阻害効果は再現されなかった。今後は更に複合的な要因を仮定して、解析を進める必要があると考えられる。
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