2012 Fiscal Year Research-status Report
熱ショックが園芸作物に誘導する抗菌反応のメカニズム解明
Project/Area Number |
24580035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
佐藤 達雄 茨城大学, 農学部, 准教授 (20451669)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際情報研究 / インドネシア |
Research Abstract |
1. 全身獲得抵抗性(SAR)と同時に誘導される別経路の病害抵抗性が存在する可能性の検証 トマトにおいて,病害抵抗性関連遺伝子のひとつであるPR1群のプロモーター領域の配列を解析し,熱ショックエレメント様配列の有無を調査し,分類するとともにトリガーである活性酸素種の発生を観察した.また,メロンにおいて,熱ショック処理後の継時的なサリチル酸の増減やマーカー遺伝子発現を調べたところ,熱ショックによる誘導抵抗性はSARを含むが,最初に起きる反応ではないことが示唆された.キュウリにおいてSAR誘導剤であるBITと熱ショックの組み合わせ処理を行うとともに熱ショック転写因子阻害剤を併用して接種試験を行ったところ,特定の組み合わせで病害抵抗性の増長や消失が観察された. 2. 熱ショックにより葉面に分泌される低分子抗菌物質の検索と同定 イチゴを用い,熱ショック処理後の葉から揮散する低分子物質を採取し,GC-MSで分析したところ,少なくとも2種類のテルペノイド類の揮散量が顕著に増加していることが明らかになった.これらの同定,定量を行ったところ,そのうちの1種については成功した.標品を用い灰色かび病菌の菌糸伸長の抑制効果を確認した.一方,標品が国内に見当たらない候補物質については海外研究機関から取り寄せ,同定に成功した.この結果を利用してハーブ類を用いて同様の実験を行ったところ,イチゴとは異なる複数の揮発性物質が熱ショックにより揮散することが判明し,またそのうちのいくつかについては強い抗菌活性が認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 全身獲得抵抗性(SAR)と同時に誘導される別経路の病害抵抗性が存在する可能性の検証 トマトにおけるPR1群のプロモーター領域の解析については基礎データが得られたが発現解析については未実施である.しかし,トリガーである活性酸素種の発生については予想どおりのデータが得られた.メロンにおいては仮説どおりの結果が得られ論文がPMPP誌に掲載された.キュウリにおけるSAR誘導剤と熱ショックの組み合わせ処理では,数回の反復実験を行ったが,再現性が不確かな結果もあった. 2. 熱ショックにより葉面に分泌される低分子抗菌物質の検索と同定 イチゴにおいては,候補物質の標品に入手困難なものもあるため,残された候補物質の同定,定量の手法について検討が必要であるが,一部知的財産を設定できるものもあるかと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
当面は当初計画に即した形で研究を進めていくが,一部,特許の申請が期待できそうな結果も得られているため,有望な部分により重点を置き,散漫な結果にならぬよう留意する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度については,実験材料の供給が効率よく行えたことと実験全体が比較的スムーズに進行したこと等により研究費にゆとりが生じた.次年度は熱ショック転写因子阻害剤等,比較的高価な試薬をより多く使うこともあり,必要部分には十分な投資をしつつ海外共同研究者との連携をより強化したい.
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Research Products
(3 results)