2015 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショックが園芸作物に誘導する抗菌反応のメカニズム解明
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24580035
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
佐藤 達雄 茨城大学, 農学部, 准教授 (20451669)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 熱ショック / 植物病害獲得抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
全身獲得抵抗性(SAR)と同時に誘導される別経路の病害抵抗性が存在する可能性の検証について,熱ショック(HS)を処理した植物で全身獲得抵抗性のシグナル伝達物質であるサリチル酸(SA)の集積ならびに,その下流で働くとされる病原感染特異的(PR)タンパク質遺伝子ペルオキシダーゼ(POX)の発現レベルの変化を測定したところ,HS処理後のSAの集積量の変化よりもPOXの発現レベルの変化の方が早かったことからPOXの発現にはSARとは別の経路が関与している可能性が示唆され,これらを包含する現象としてHeat shock-induced resistance (HSIR)と名付けた.熱ショックタンパク質(HSP)の関与を考えHSP阻害剤がHSIRの誘導に及ぼす影響を評価したところそれらは病害抵抗性を誘導した.平成27年はHS後のHSPやPRタンパク質の遺伝子発現レベルの変化を観察したところ,HSPがPR遺伝子の発現に直接関与している可能性が確かめられた. HSより葉面に分泌される低分子抗菌物質の検索と同定については,ハーブを用い,HSによるテルペノイド類の生成とそれらの抗菌作用について検討した.その結果,テルペノイド生合成系がHSにより活性化すること,また抗菌活性を示す中間生成物が集積することなどが明らかになった.これらの反応もHSIRの一つとしてとらえられるものと考えられた. HSにより葉内に生成する高分子抗菌物質の抽出と同定については,平成27年度までにこれまでの実験で大きな関与が推定されたPOXの集積ならびに活性消長を調査したが,POXの直接的な抗菌活性は見いだせなかった.このため上記実験の結果から,HSにより発現が誘導されると推定されるプロモーター配列を含む抗菌タンパク質の遺伝子をゲノム解析によってピックアップし,実際にいくつかのタンパク質が植物体内に集積することを確認した.
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Research Products
(8 results)