2012 Fiscal Year Research-status Report
| Project/Area Number |
24580038
|
|---|
| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
| Research Institution | Utsunomiya University |
|---|
Principal Investigator |
山根 健治 宇都宮大学, 農学部, 教授 (60240066)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
| Keywords | 花卉のCA処理 |
|---|
| Research Abstract |
初年度は実験的スケールとして、CO2インキュベーターを使用して切り花および鉢花に対するCA処理を行った。温度を5～25℃、CO2濃度を0.1～10%、O2濃度を5～20%の範囲で設定し、切り花と鉢花への影響を評価した。CO2インキュベターを活用し、予冷とあわせて、切り花へ2時間から48時間の短期間、様々な濃度の高CO2＋低O2処理、いわゆるCA処理を行い、切り花の鮮度への影響について検討した。
ナデシコ属ソネット'マリア'の小花に、2、6 および24時間のCA処理を行った。インキュベーター内は温度5℃、CO2濃度20%、O2濃度5%と設定した。処理区はCA区と、温度条件のみを同じにした予冷区、無処理区の3区を設けた。小花の日持ちは対照区1.8日、予冷区2.0日に対して、2時間のCA処理で約4日に延長された。6時間および24時間の処理では有意な効果は認められなかった。
ダリア'黒蝶'切り花では、12時間のCA処理をCO2 5%＋O2 10%，CO2 10%＋O2 5%，CO2 7.5%＋O2 7.5%で行った。いずれの処理も切り花の新鮮重の低下を遅延し、花持ちを2日程度延長する傾向がみられたが、有意な効果は認められなかった。花茎における糖含量は，対照区に比べ、予冷区・CO2 7.5%＋O2 7.5%CA処理区では高まる傾向が認められた。
カーネーションおよびユーストマ切り花ではエチレン生成の抑制と日持ち延長における効果が認められたが、キク切り花では効果は認められなかった。また、カーネーションをCO2 20%で12時間処理すると鮮度保持効果が認められたが、48時間処理した場合、小花の褐変など障害が認められ。これらのことから、短期CA処理の効果は花の種によって効果が異なることや適切な処理濃度と時間を設定することの重要性が示唆された。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CO2インキュベーターを利用したCA処理を行ったが、スペースやCO2濃度の調節に限界があったため、十分にCA処理の影響を明らかにすることができなかった。切り花の呼吸速度やエチレン生成量は花卉の栽培時期の温度の影響を受けており、処理前の条件を揃える必要があった。
また、予冷下でのCO2の供給時に、ガスボンベの温度が下がりすぎて、液化炭酸の出口でドライアイスが生成し、CO２の供給が滞る現象もみられるなど、均一な実験系を設定することができなかった。
|
| Strategy for Future Research Activity |
CO2インキュベーターを利用したが、CO2の濃度を最大でも20％までしか設定できなかった。また、インキュベーターの性能上、酸素濃度が低くなりすぎるという問題点があった。そこで、さらに高いCO2濃度を達成するために、装置を作成することとする。ガス透過性の低いフィルムをガゼット折りにして簡易テントを作成し、下部は水で囲って密封し、CO2インキュベーターでは達することができなかった20%以上から60%のCO2濃度で短期CA処理を行い、花持ち、エチレン生成、呼吸速度への影響を調べる。
|
| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
１）CA処理装置の製作費：ガス透過性の低いフィルム、ヒーター付きのCO2ガス調整器、テントの骨組み資材など簡易CA処理を作成するために使用したい。
２）上記のCA処理装置内の数十%にのぼる高いCO2濃度を測定するための検出器を購入したい。
３）昨年度同様に契約した花生産者から切り花を購入したい。
４）エチレン関連酵素の遺伝子、呼吸関連酵素の遺伝子の発現を調べるための試薬・キットやその他のプラスチック器具などを購入したい。
５）研究成果を国際学会で発表するためにBurana Chairat氏の旅費を支出したい。
|
Research Products
(1 results)
