2013 Fiscal Year Research-status Report
国産園芸植物をモデルとした系統地理学的研究に基づいた「系統植栽管理法」の構築
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24580039
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
渡辺 均 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 准教授 (80301092)
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Keywords | 系統評価 / 野生群落 |
Research Abstract |
ダンギクは海岸地や低山の露岩地に自生しているが、人為的な開発行為などにより、野生植物遺伝資源の撹乱とその多様性の維持が非常に困難となっている植物でる。ダンギクは、環境省の絶滅危惧II類であり、長崎県、鹿児島県を中心とする西九州に自生している。本植物の表現型および遺伝子調査により遺伝資源としての多様性の成立要因の解明およびその評価を目的として研究を進めている。 109自生群落の収集および生育調査を行い、各自生地で多様な形質を示す異なる表現型を確認した。さらに詳細な分布地図を作成し、表現型と分布との関連を検証した。 昨年度からの継続的なDNAシークエンス解析の結果、西九州自生群落間の変異が小さいことを再確認した。この結果を用いて、ダンギクの分布形成年代を推定した。一方、長崎県対馬および長崎本土の群落においては、複数の塩基置換によるハプロタイプを確認し、分布とその成立要因を環境要因等からの検証を試みた。しかし、表現型及び遺伝学的側面から本植物の検証を試みたが、表現型の変異が大きいことが判明したことから、各群落の環境の影響を強く受けていると考えられた。さらに、ダイレクトシークエンスを行ない、基準地および準基準地の個体のダイレクトシークエンスを完了させた。さらに、変異の多いことが知られている葉緑体DNAの20の遺伝子間領域について、各領域のユニバーサルプライマーによるPCR法で増幅させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調整が困難と思われたDNA抽出法が比較的スムーズに完了し、PCR法、ダイレクトシークエンスまで予定どおり進めることができたため。さらに、ダンギクの詳細な分布地図を作製し、表現型と遺伝子型の比較検証を行なうことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ダンギクのハプロタイプ鑑定の試行、ダイレクトシークエンスデータが膨大であることから、今年度はデータの取り纏めとその結果を精査し、ダンギク群落成立の要因を地理的、人為的変異のパターンから解明する。また、速やかに解析できる体制を構築し、その多様性を損なうことなく、産業的に実施可能な「系統植栽管理法」の確立したい。
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Research Products
(1 results)