2014 Fiscal Year Annual Research Report
単為結果性トマトの低温による肥大停止遅延現象の解明
Project/Area Number |
24580041
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
片岡 圭子 愛媛大学, 農学部, 准教授 (80204816)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トマト / 果実発育 / 低温 / 糖濃度 / ペルオキシダーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
強い単為結果性を示すトマト‘京てまり’で,冬期無加温栽培の可能性が示されたが,加温栽培に比較すると収量は少なく,低温下での果実肥大についてより詳細に検討する必要がある.‘京てまり’において緑熟期以降に低温にすると,着色までの日数が増加すると同時に,肥大が継続し,対照区よりも2~4割大きくなり,細胞体積が大きくなって,果肉細胞壁が薄くなることを観察した.低温による肥大継続現象は,単為結果性品種の低温期の栽培における果実肥大促進,ひいては収量増加の可能性を示唆しているが,同時に,裂果,肉質低下,希釈効果による糖度低下などの問題が起きることが予想され,その様相を明らかにしておく必要がある.そこで,トマト果実への光合成産物の流入を制御する糖代謝酵素活性の子房(果実)組織内での局在と発達段階に伴う変化が,温度によってどのように影響されるのかを検討した. その結果,果実発育後半での低温による果実肥大期間の延長と果実重の増加は,単為結果性系統に特異な現象ではなく,経済品種である‘フルティカ’や‘Micro Tom’でも観察され,トマト果実に共通する現象である可能性が示唆された.低温下では,果実肥大速度は小さくなるが,光合成産物の流入は継続しており,成熟までの日数の増加により,最終的な乾物重は増加することが明らかになった.また,スクロースの増加が顕著である一方,有機酸含量は低温遭遇によって低下し,果実品質におよぼす温度の影響が明らかになった. 果実発育後期の果実肥大に関与する酵素については,インベルターゼ,ペルオキシダーゼを検討したが,明らかな結果は得られなかった.この現象の解明にはさらに詳細な研究が必要である.
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