2012 Fiscal Year Research-status Report
アントシアニン着色における環境要因および遺伝要因を探る
Project/Area Number |
24580042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中務 明 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (40304258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 伸雄 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (00362426)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ツツジ / アントシアニン / pH / ダイコン / 着色 |
Research Abstract |
ツツジの花冠とダイコン根部のアントシアニン着色に関して、遺伝的および環境の要因を調査した。 1.ツツジ野生種・自然雑種および園芸品種を材料に、花色評価と色素分析ならびに花弁のpH測定を行った。アントシアニンおよびフラボノール色素の有無により6タイプに分類でき、花色は色素構成に依存していた。アントシアニンにフラボノールが共存する場合、青色が強い傾向を示し、さらにpHも色調への関与が認められた。以上の結果より、色素構成が花色発現の主要因であり、一部のツツジではpHが花色の多様性に寄与していることが明らかとなった。また、サブトラクション法により、ロイコアントシアニジン還元酵素遺伝子および転写因子MYB遺伝子の単離に成功した。これらの遺伝子の発現解析行うと、発現量に明らかな差が認められたが、他の野生種では着色との関連がなく、さらなる探索の必要性があると思われる。 2.紫系および赤系の‘出雲おろち大根’育成系統の根部着色は、それぞれF7世代では63%および64%を、S1世代では66%と74%を示した。これら着色系統について色素分析を行ったところ、紫系および赤系の主要色素はそれぞれ、Cyanidin 3-[2-(glucosyl)-6-(trans-p-coumaroyl)-glucoside]-5-[6-(malonyl)-glucoside]とPelargonidin 3-[2-(glucosyl)-6-(trans-feruloyl)-glucoside]-5-(6-malonyl-glucoside)であった。また、アントシアニン色素の合成に関わる遺伝子単離を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
花色評価・遺伝分析に関しては、ツツジの花弁に加えてダイコンの根部着色を評価できた。また2つの材料の交配した後代の作出も進んでいる。 色素分析・pH測定に関しても、遺伝的に制御されている結果を得ることが出来た。 最後に色素構成と遺伝子に関しては、目的の遺伝子単離がまだ完了しておらず、引き続いて行う。 以上の状況から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2つの植物材料のアントシアニン着色について、遺伝的および環境の要因を調査する。 1.ツツジ 交配系統を新しい材料に加えて、花色評価・色素構成などを行う。またサブトラクション法により、遺伝的にほぼ同じの枝変わり品種を材料に、着色を制御している遺伝子の単離を進める。 2. ダイコン 着色発現の形質に関して固定化を進めるとともに、紫および赤系の大根を材料に色素関連遺伝子の単離と発現解析を進める。加えて、ダイコン育種に有用である着色識別マーカーの作成を開始する。またpH条件が植物体の発色に与える影響を調査する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
植物の維持管理・遺伝子解析および成分分析などに必要な消耗品、成果発表のための旅費、成果を学術論文にまとめるための費用を計上し、適正な執行を行う予定である。 また、客員研究員が2013年2月までしか活動できなかったため、平成24年度にに未使用額が生じたが、平成25年度は早期執行を推進し、厳密な実験計画進行を引き続き行う。
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Research Products
(6 results)