2013 Fiscal Year Research-status Report
アントシアニン着色における環境要因および遺伝要因を探る
Project/Area Number |
24580042
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中務 明 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (40304258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 伸雄 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (00362426)
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Keywords | アントシアニン / ツツジ / ダイコン / 遺伝子 / pH |
Research Abstract |
ツツジ花色育種に関して花色の発現要因の基礎的情報を得るために、アントシアニン色素構成やフラボノールの有無に加えて、花弁搾汁pHについて調査し、種や色調との関係性について検討した。ツツジは種によってシアニジン・デルフィニジン系の色素構成やフラボノールの有無が遺伝的に制御されていることに加え、花弁pHも種によって大きく異なっており、これらの諸要因が野生種特有の花色発現に寄与していることが示唆された。またサブトラクション法やEST解析の結果、キシツツジや ‘大紫’からアントシアニンの合成関経路の下流に位置する、アントシアニジンを配糖化する酵素の遺伝子配列情報を取得できた。 紫系および赤系「出雲おろち大根」の根部アントシアニン着色関連遺伝子の単離と発現解析を行った。紫系および赤系「出雲おろち大根」からCHS、DFRおよびANSを単離し、これらの遺伝子についてPCRによる発現解析を行ったところ、根部着色個体のみ増幅が確認された。しかしながらDNA領域の遺伝子増幅を行うと、白色および着色個体の間で3遺伝子の増幅産物において大きさの差異は認められなかった。「出雲おろち大根」においてアントシアニン合成経路の複数の段階で遺伝子発現が検出されなかったことより、MYBなど転写因子が根部着色を制御している可能性が示唆された。また紫と赤色の根部アントシアニン着色の違いは主要色素の合成に関係するF3’H遺伝子発現の有無が関係していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ツツジ:花冠のアントシアニン発色に関する諸要因に関して、pH,アントシアニンやフラボノール含量を測定し、カラーチャートや色差計による花色の評価をすべて終了した。また、アントシアニン着色の関連遺伝子の単離に成功した。さらに異なる花色を交配親とした交配系統の育成も進んでいる。 ダイコン:主要色素の同定、根部アントシアニン着色関連遺伝子の単離と発現解析が終了した。また、赤・紫および白色を交配親とした育成系統の作出も進んでいる。 以上の状況からおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ツツジ:花冠がアントシアニン着色した品種から引き続き着色関連遺伝子の単離を進めるとともに、遺伝子の発現解析を行う。また着色の有無を決定する遺伝子特定のため、花色が分離した交配系統を材料に追加し、発現解析やDNA構造解析を進める。 ダイコン:根部アントシアニン着色関連遺伝子である転写因子MYBの単離できたため、その発現解析を行う。葉・根部など遺伝子発現の組織特異性も併せて調査する。さらにF3’H 遺伝子のDNA構造解析し、赤色と紫色を識別できるDNAマーカー開発を進める。
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Research Products
(9 results)