2013 Fiscal Year Research-status Report
Pelargonium属Hoarea節野生種の変異創出による新規優良品種の作出
Project/Area Number |
24580045
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
柿原 文香 愛媛大学, 農学部, 准教授 (80101377)
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Keywords | Pelargonium / Hoarea / 種間雑種 / 花色 / 倍数体 / 黄色花 / 硬実種子 |
Research Abstract |
Pelargonium属植物はこれまでに約300種の記載があり、これらは12-15節に分類されている。約70種から構成されるHoarea節は、多数の種を含有する大きな節であるものの、既存の栽培品種の成立に関与したとの報告は、これまでに見当たらない。Hoarea節は、花色・花形・草姿において、また、球根を持つ、開花後休眠するなど、現存の栽培品種には存在しない特異的な特性を示す。従って、Hoarea節は既存品種のイメージとは全く異なる栽培品種を作出する重要な遺伝資源となりうる。そこで、本研究では、Horea 節に属する多数の野生種を育種素材に用いて、これらの間で相互交雑を行う事で変異拡大を図り、新規性・区別性に富み、かつ、優れた特性を持つ、鑑賞価値の極めて高い系統の創生を実現する。平成25年度の研究成果は次の通りである。 1.Hoarea 節野生種 P. rapaceum の葉片からの植物体再生系を既に確立しているPornpan S.ら,2010 )が、同節に属する P. oblongatum の葉片からも同様な手順で植物体の再生が可能なことを確認した。 2.染色体数の基本数および染色体数が同数であるP. fulgidum (x=11,2n=22)との種間交雑より得られた雑種個体の形質調査を行ったところ、P. fulgidumを種子親に用いた交雑により得られた個体は、両親の中間的形質を示し、雑種と推測できた。 3.Pelargonium属植物の種子は一般に硬実で、通常の発芽法では発芽が極めて困難で、摩砕処理や傷つけ法などの前処理が必要である。しかし、Hoarea節に属する種の種子における硬実性の程度は、他節に属するよれより弱く、前処理は不用で、発芽適温は5-10℃であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
〔本年度における研究の進捗状況〕 現存の栽培品種が持たない特異的な形質を保有するHoarea節の野生種を用いて、節内及び節間における種間交雑により変異拡大を図り、様々な形質を持つ個体から優良形質を示す個体を選抜し品種育成に繋げたいと考えている。本年度は、P.fulgidum (x=11,2n=22)との種観交雑より得られたF1個体の形質調査結果より、これ等の後代が雑種であることが判明したこと、さらに、Hoarea節の種子が低温(5-10℃)条件下で容易に発芽することが明らかになった。 〔現在までの達成度〕 上述の進捗状況から判断して、「おおむね順調に進展いる」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.Hoarea節とLigularia節との間の種間雑種についての特性調査を完了する。 2.Ligularia節およびHoarea節に属する種間のRAPD解析を行い、類縁関係を明らかにする。 3.今年度は、最終年度であり、得られた結果の公表につとめる。国際園芸学会でその成果を発表するとともに、花色と花色素との関連性に関する論文を執筆する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
成果発表の論文執筆が予定以上に期日を必要とした。また、国際園芸学会参加に必要な費用が予定した額をオーバーすることが考えられるため、翌年度に繰り越した。 オーストラリア(ブリスベン)で開催の国際園芸学会への参加費用(登録料および旅費)と成果発表のための費用に使用の予定である
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