2013 Fiscal Year Research-status Report
切り花収穫後の開花調節を目指した光による花弁成長リズムの解明
Project/Area Number |
24580055
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
山田 邦夫 中部大学, 応用生物学部, 准教授 (30345871)
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Keywords | バラ / 光刺激 / 花弁成長 / 発光ダイオード / 水チャネル |
Research Abstract |
本研究の目的は、光刺激と花弁成長との関係を明らかにし、つぼみからの開花現象を解明することにある。さらに、そのメカニズムを制御し、切り花などのつぼみから開花に至る過程を光によって人為的にコントロールすることを目標としている。 本年度は、昨年度に引き続きLED照射と開花との関係を調べた。その結果、開花には、24時間を周期としたサーカディアンリズムによって制御されている動きと、暗期から明期への切り替わりによって制御されている動きの、両方が存在している可能性が示唆された。これら二つの制御系と光の波長については、引き続き次年度も調査する予定である。また、開花に関係する遺伝子の発現と明期暗期での開花リズムとの関係を調べたところ、エンド型キシログルカン転移酵素/加水分解酵素(XTH)やエクスパンシンといった細胞壁の伸展性にかかわる遺伝子の発現変動はあまり見られなかった。一方、細胞内への水の流入にかかわる遺伝子であるアクアポリンのmRNA量は、開花が進む明期の方が、開花を停止している暗期に比べ発現量が多い傾向にあった。また、アクアポリンのタンパク質量をウエスタンブロットによって解析し、予備的ながら液胞膜型水チャネルや細胞膜型水チャネルのタンパク質量が開花が進む明期に多く発現している可能性が示唆された。次年度も引き続き、明期暗期での細胞壁の物性変化や糖含量などを解析し、遺伝子発現やタンパク質量の解析やアクアポリンのリン酸化量の解析などと合わせて考察し、開花リズムの分子メカニズムを明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
開花には、24時間を一周期としたサーカディアンリズムによって制御されている動きと、暗期から明期への切り替わりによって制御されている動きの、両方が存在している可能性が示唆されたことは学術的にも興味深く、当初予想した以上の成果を得られたと考えている。また、困難と思われた特異的抗体を用いたアクアポリンのウエスタンブロット解析において、液胞膜型水チャネルと細胞膜型水チャネルを検出することができ、リン酸化量の解析への道筋が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き、光刺激と開花リズムとの関係を詳細に調べていく。LED照明を用いて、各波長の光が花弁成長運動にどのような影響を与えているかを明らかにする予定である。さらに、花弁中の糖含量や花弁細胞壁の伸展性の詳細な日変動を調べることによって、開花進行時と開花停止時の花弁細胞状態の違いを明らかにすることを計画している。また、本年度に引き続き、遺伝子解析やウエスタンブロット解析により、総合的に開花リズムの分子メカニズムを明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の実験が効率よく進んだ結果、雇用予定のアルバイト謝金の支出が予定より少額となった。 平成26年度研究計画の予算と合わせて、消耗品費として前半に使用予定することとした。
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Research Products
(5 results)