2013 Fiscal Year Research-status Report
光によるニホンナシ休眠と耐凍性の制御は可能か?-機構解明から技術開発への展開
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24580057
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
伊東 明子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所 栽培・流通利用研究領域, 主任研究員 (30355383)
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Keywords | 光 / ニホンナシ / 休眠 / 耐凍性 / LED |
Research Abstract |
ニホンナシを対象に、枝伸長停止期から休眠導入期にかけて青色光、赤色光、遠赤色光、青色+遠赤色光(混色)、赤色+遠赤色光(混色)をLED光源により夜間連続照射し、花芽の休眠ステージ進行や耐凍性強度に及ぼす影響を検討した。その結果、花芽が枯死する限界温度を指標とした花芽の耐凍性強度、および凍結した枝組織からの電解質漏出率を指標とした枝の耐凍性強度については、ともに光照射による一定の傾向が認められなかったことから、光照射は耐凍性強度にほとんど影響しないと考えられた。一方、枝伸長停止期から開花期まで連続して光照射を行った場合、光の種類による開花期の差が認められたことから、光照射は休眠覚醒に影響を及ぼすものと考えられた。この点については来年度再調査を行い、年次変動を確認する。 また、休眠ステージおよび耐凍性の進行は、遺伝的にプログラムされたプロセスと考えられるが、これらの進行に与える光の影響をより適切に評価するため、休眠関連遺伝子(Dormancy Associated MADS等)、低温感応関連遺伝子(FLC等)、および環境耐性関連遺伝子(PR等)の発現変化を昨年度のサンプルを用いて調査したところ、catalase, PRR-5, chitinase, PR-10など環境耐性関連の遺伝子発現が青色光照射で増加する傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に実施予定であった光質がニホンナシの休眠ステージ進行や耐凍性獲得に及ぼす影響の評価は予定通り実施でき、次年度に行うべき課題も明らかになった。また、実施を予定していた休眠、低温感応、および環境耐性関連遺伝子の発現も解析できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの2カ年、枝伸長停止期から休眠導入期をターゲットとして光照射処理を行ってきたが、光照射は休眠導入や、休眠最深期の耐凍性獲得にはほとんど影響せず、むしろ休眠覚醒から開花期にかけての休眠ステージ進行に影響している可能性が示された。そこで次年度は、ニホンナシに青色光、赤色光、遠赤色光の照射を行い、休眠導入から覚醒までのステージ進行や、耐凍性獲得に及ぼす影響を再確認する。また、光照射が休眠覚醒に影響している場合、休眠覚醒に必要な低温が、光により代替できるかどうかについても調査する。 また、引き続き花芽や枝の試料について、休眠関連遺伝子、低温感応関連遺伝子、および耐凍性獲得関連遺伝子の発現解析を実施し、光照射が休眠および耐凍性に及ぼす影響を分子生物学的に解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は申請当初予定の実験の上、さらに昨年度の余剰金を充当して青色+遠赤色光および赤色+遠赤色光の混色照射の影響や、照射ムラの少ない光源(テープライト)を使用した照射の影響まで検討し、研究計画は年度当初の予定通り進行した。今年度余剰金(次年度使用額)が生じたのは、研究計画の遅延や縮小によるものではなく、所属する研究機関より、育児中の女性研究者に対する研究支援者の雇用経費補助を受けることができたためであり、生じた残額はほぼそれに対応する額である。 次年度は、(1)これまでの研究の結果から、調査対象期間を休眠導入期~最深期から延長し、休眠覚醒から開花期までとするため、研究開始当初の見込みより光源および苗木の購入費用が多く必要となること、および(2)これまでに得られた成果を平成26年度開催の国際園芸学会(ISHS 2014)で発表すること、から、当初見込みより研究予算の上積みが必要である。そこで今年度生じた残額については平成26年度分予算と合わせ、これらに必要な費用に充当する。
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