2013 Fiscal Year Research-status Report
キュウリモザイクウイルス感染による宿主植物の抗ウイルスPTGS抑制機序の解明
Project/Area Number |
24580069
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
大木 理 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (00128761)
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Keywords | タバコ / PTGS / VIGS / キュウリモザイクウイルス / ウイルスサプレッサー |
Research Abstract |
H25年度は,①GF-IR/GFPタバコの性状解析,②30塩基のF領域配列を導入したCMV-F30によるVIGS実験を行った. ①に関しては昨年度作出したGF-IR/GFPタバコ4ラインの中から,GFP蛍光が完全に消失した1ラインを選抜して解析に用いた.まず,GF-IR/GFPタバコにおけるGF領域由来siRNA(GF siRNA)およびP領域由来siRNA(P siRNA)の蓄積量を検討したところ,予想に反してP siRNAが検出されなかった.このことは,タバコではGF-IRによるPTGSでは3′方向への2次PTGSは誘導していないことを示している.P siRNA蓄積を使用に2次PTGSの有無を検討することが不可能になったため,新たに5′方向への2次PTGSを誘導する実験系を構築している. ②に関しては,30塩基のF領域配列を標的に用いたため,GF siRNAおよびP siRNAをそれぞれ5′方向および3′方向への2次PTGSの指標とできた.野性型2bをもつpepo-F30と弱毒型2bをもつR46C-F30をそれぞれ接種したGFP恒常発現タバコ(G3Sm1)におけるGFP mRNAの蓄積量は非接種G3Sm1と比較して減少していた.次に,GF siRNAとP siRNAの蓄積の有無を調べたところ,pepo-F30と R46C-F30が感染した葉からはGF siRNAは検出されたが,P siRNAは検出されなかった.この結果から,VIGSにおいても,3′方向への2次PTGS起こらないことが示された.また,pepo-F30とR46C-F30間でGF siRNAの蓄積量に差が見られなかったことから,2bが2次PTGSを阻害しているという仮説は確認できなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験②では当初予定した方法ではVIGSを誘導することができなかったが,若干の修正を加えることにより,H25年度実験の目的である,CMVに導入したGFP配列が誘導するVIGSの抑制実験を完了できた.一方,実験①では新たなコンストラクトによる組換えタバコを一から作出する必要が出てきたため,若干の遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
CMV感染による導入遺伝子誘導型PTGS抑制実験では,新たに5′方向への2次PTGSを誘導する実験系,すなわち,GFP中央領域250塩基(F領域)をIRの標的としてG領域由来siRNAの蓄積を2次PTGSの指標とする,を構築している.既にF-IRコンストラクトは完成しているが,タバコの組換えおよびG3Sm1との交配には時間を要するため,アグロバクテリウムによる一過的発現系を用いた実験系も同時並行して行う予定である. CMV感染が誘導するVIGSの抑制実験では,H25年度の結果をさらに確認するため,タバコ内在遺伝子(クロロフィル合成に関与するCHLH)を標的にしたVIGS実験系を行う.30塩基のCHLH配列VIGSを誘導し,標的配列から5′側領域および3′側領域由来siRNAの蓄積がpepoとR46Cで同程度であった場合,CMVの2bは2次VIGSをしていないことが証明される. 最終年度は,CMVに感染したシロイヌナズナにおけるmiRNAおよびtasiRNA生成の解析を行う.植物の内在遺伝子発現制御PTGSにおいて,tasiRNAの生成にはRdRPが必要であるが,miRNAの生成にはRdRPは関与しないことが報告されている.pepoとR46Cを接種したシロイヌナズナにおけるmiRNA(miR167,miR390,miR167,miR173,miR828)とtasiRNA(TAS2,TAS3a,TAS4),および,各低分子RNAが標的とする内在遺伝子(ARF3,ARF4,ARF8,PAP1,PPR)mRNAの蓄積量をノーザン法により比較し,pepo感染シロイヌナズナのみでtasiRNAが生成されずに標的mRNAの蓄積量が増加していれば,CMVの2bは内在遺伝子制御機構においてRdRP経路を抑制していると証明される.
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