2013 Fiscal Year Research-status Report
プラントアクティベーターが標的とする植物因子群の同定と植物免疫制御機構の解明
Project/Area Number |
24580071
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Research Institution | 岡山県農林水産総合センター生物科学研究所 |
Principal Investigator |
鳴坂 義弘 岡山県農林水産総合センター生物科学研究所, その他部局等, 専門研究員 (20335459)
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Keywords | 植物 / マイクロアレイ / 植物免疫 / プラントアクティベーター / 低分子化合物 / シロイヌナズナ / 抵抗性誘導剤 / 病害防除 |
Research Abstract |
①標的遺伝子の破壊株および過剰発現株を用いた標的因子の機能解析 前年度に取得および作製したモデル実験植物のアブラナ科植物シロイヌナズナの遺伝子破壊株および過剰発現株に、植物免疫を活性化する低分子化合物A1剤を処理し、アブラナ科植物に感染する病原糸状菌(カビ)のアブラナ科野菜類炭疽病菌を接種して防除価を検定した。その結果、A1剤とその類縁体はサリチル酸シグナル伝達経路に作用することが明らかになった。次いで、本剤の作用機作を明らかにするため、本剤をシロイヌナズナに処理し、サリチル酸シグナル伝達経路の有名なマーカー遺伝子であるPR-1とジャスモン酸/エチレンシグナル伝達経路の有名なマーカー遺伝子であるPDF1.2の発現プロファイルを詳細に解析した。その結果、処理初期には、PDF1.2遺伝子の速やかな発現誘導が認められ、次いでPDF1.2遺伝子の発現が低下するのと入れ替わりにPR-1遺伝子の強い発現誘導が認められた。また、他の防御応答遺伝子についても同様の傾向が認められた。これまでにサリチル酸防御応答とジャスモン酸防御応答は拮抗していることが報告されており、A1剤によるユニークな防御応答プロファイルの変化は非常に興味深く、今後も詳細に作用機作を解析する予定である。 ②植物免疫を活性化する低分子化合物に対する不感受性変異体の解析 シロイヌナズナ変異体ライブラリーをスクリーニングした結果、数個の不感受性変異体が得られたが、後代で表現型が消失した。引き続きスクリーニングを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに報告されていない新規な低分子化合物を取得できた。また、従来と異なる作用機作の知見を発見できた。一方で、これら低分子化合物に対して不感受性のシロイヌナズナ変異体の取得が困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
取得した新規な低分子化合物の詳細な作用機作を明らかにするとともに、本剤を農作物(キュウリやアブラナ科作物など)に処理し、これら作物に感染する病原菌(炭疽病菌、斑葉細菌病菌、斑点細菌病菌など)を接種して防除効果を解析することで応用面での検討も行う。また、農作物における防御応答遺伝子の発現プロファイルを解析し、モデル実験植物の防御応答遺伝子と比較解析することにより、病害防御応答の普遍性を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文の投稿が次年度にずれ込んだため、そのための費用を確保した。 論文の投稿費用に充てる。 試薬の価格が高騰しており、新規化合物の合成および購入費用として使用する予定である。
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Research Products
(9 results)