2013 Fiscal Year Research-status Report
昆虫不妊化剤開発を指向したプロスタグランジン合成酵素の機能解析
Project/Area Number |
24580078
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 幸治 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00346834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 守 大阪大学, たんぱく質研究所, 准教授 (40280507)
有竹 浩介 筑波大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (70390804)
東浦 彰史 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教 (90598129)
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Keywords | 応用昆虫 / プロスタグランジン |
Research Abstract |
Prostaglandin E synthase (PGES)は,Prostaglandin HからProstaglandin Eを合成する酵素である.平成25度は,カイコ由来PGES組換えタンパク質とグルタチオン類縁体の一種であるglutathione sulfonic acid (GTS)との相互作用について解析した.sitting-drop蒸気拡散法によりPGES-GTS複合体の結晶を作製することに成功した.この複合体結晶を用いてSPring-8においてX線回折実験を行い,分解能1.37Åの回折強度データを得た.分子置換法により位相を決定し,精密化をすすめて全体構造を決定した(Rwork/Rfree=15.6%/18.2%).昨年度得られたPGES-グルタチオン(GSH)複合体同様に,PGESはホモダイマーを形成し,モノマー構造は9本のαヘリックスならびに4本のßストランドより構成されていた.また,mosquito由来のdelta-class glutathione transferase中で観察されたelectron-sharing networkも本酵素中に存在することが明らかとなった.PGES配列中のAsn96,Asp97そしてArg99は,このnetworkを構成しており部位特異的アミノ酸置換法によりこれらのアミノ酸をそれぞれAlaに置換した.これらの変異が活性に与える影響を検討した結果,いずれの変異体も野生型と比較して50%の活性低下が見られた.さらに,ほ乳類由来prostaglandin synthase構造と重ね合わせた結果,Tyr8, Lue14, Tyr107, Lys117, Val155, Met159, Glu203が基質認識に関与していることが予想された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カイコPGES配列中のAsn96,Asp97そしてArg99がグルタチオンとの相互作用に重要であることが構造解析の結果分かった.部位特異的アミノ酸置換法により,これら3残基は本酵素の活性発現に関与することが認められた.以上の事由により,おおむね順調に進展しているものと判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策は以下の通りである. 1.カイコPGESとProstaglandin H類縁体との複合体結晶を作製する.得られた結晶のX線立体構造解析を行うことにより,活性発現に関与するアミノ酸残基を同定する. 2.PGESの阻害剤を探索する. 3.PGES阻害剤投与によるカイコ卵巣の発育に与える影響を調査する.
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