2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okinawa National College of Technology |
Principal Investigator |
伊東 昌章 沖縄工業高等専門学校, 生物資源工学科, 教授 (00395659)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 昆虫 / 昆虫培養細胞 / カイコ / 無細胞タンパク質合成 / 無細胞翻訳系 / 翻訳促進配列 / バキュロウイルス |
Research Abstract |
本研究は、新しい昆虫産業を創出し発展させるための基盤技術を確立することを最終目的とし、これまで我々が開発してきた昆虫無細胞タンパク質合成系を有力なタンパク質生産・解析手段の一つとするべく、その利用基盤を構築することを目的としている。 平成24年度は、(1)まず、本研究を確実に遂行するための研究体制を確立した。具体的には、評価に用いるβ-ガラクトシダーゼ遺伝子発現プラスミドの構築を行った。また、カイコの安定的な飼育体制を確立し、それを用いてカイコ幼虫後部絹糸腺抽出液の大量調製を行った。(2)次の段階として、カイコ幼虫後部絹糸線無細胞タンパク質合成系において効果が期待される翻訳促進配列をバキュロウイルス構成タンパク質遺伝子の5’非翻訳領域などの配列から検索し、6種類の異なる翻訳促進配列を有するβ-ガラクトシダーゼ遺伝子発現プラスミドを作製した。それを用いて合成量における翻訳促進配列の影響を調べることで翻訳促進配列のスクリーニングを行った。その結果、40塩基からなるSpodoptera frugiperda核多角体病ウイルス(SfNPV)由来ポリヘドリン遺伝子の5'非翻訳領域が最も翻訳促進能が高いことが明らかとなった。(3)現在、SfNPV由来の40塩基からなる翻訳促進配列の5'末端、3'末端から2塩基ずつ削除していった変異体、コザック配列の影響を無くすために3'末端の4塩基を残し、5塩基上流から2塩基ずつ削除していった変異体、合計56種の変異発現プラスミドを作製し、それを用いて合成量における翻訳促進配列削除の影響を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、(1)本研究を確実に遂行するための研究体制を確立した。(2)また、次の段階として、カイコ幼虫後部絹糸線無細胞タンパク質合成系において効果がある翻訳促進配列をバキュロウイルス構成タンパク質遺伝子の5’非翻訳領域の配列から検索した。(3)さらに、得られた翻訳促進配列の変異解析によりその機能を考察している。当初目標は、その後、(4)先の昆虫培養細胞無細胞系における結果との比較から考察を行い、その結果をもとにカイコ無細胞系あるいは2つの昆虫無細胞系に適用可能なスーパー翻訳促進配列を設計し、その促進能を評価することになっていた。これに関しては、25年度の4-6月中に行う予定としている。以上のことからおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、まず、平成24年度の研究予定でやり残しているカイコ無細胞系あるいは2つの昆虫無細胞系に適用可能なスーパー翻訳促進配列を設計し、その促進能を評価する。それ以降は、計画通りに、チロシナーゼなどの活性化にシャペロンを有する酵素をモデルタンパク質として用い、共発現に最適な合成条件を決定するとともに、その発現と活性化機構をウエスタンブロットや分子間相互作用解析装置を用いて解析することにより、簡便に解析が可能な昆虫無細胞タンパク質共発現解析システムを構築する。 また、平成26年度では、膜結合性タンパク質であるラッカーゼおよび1回膜貫通型膜タンパク質(HAを予定)をモデルタンパク質として、昆虫培養細胞由来ミクロソーム膜添加による膜タンパク質発現方法の条件検討と最適化を行い、昆虫無細胞系における膜タンパク質のミクロソーム膜への挿入機構を理解していき、それらの解析方法のシステム化を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
カイコ抽出液を作製するために、カイコ卵30千円、カイコを飼育するための人工飼料100千円を計上している。翻訳促進配列のスクリーニングや部位特異的変異体の解析では、大量のオリゴプライマーを用いる。その合成費用代として、平成25年度は100千円計上している。本研究は、遺伝子組換え技術を用いた実験が主となる。この実験では、例えばmRNA合成キットなどの高価な試薬類や、使い捨てゲル濾過カラムなどの消耗品を大量に使っていく必要がある。そのため、試薬類、消耗品の費用として平成25年度は790千円計上している。研究成果の公表を目的とした学会発表、情報交換のための出張旅費4回分の年440千円を計上している。以上のことより、次年度の使用計画はすべて必要最小限であり金額も妥当と思われる。
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