2014 Fiscal Year Annual Research Report
スズメバチが作るシルクの人工タンパク質生産と天然マユ構造の再構築
Project/Area Number |
24580086
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
亀田 恒徳 独立行政法人農業生物資源研究所, 新機能素材研究開発ユニット, その他 (70334042)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 昆虫新素材 |
Outline of Annual Research Achievements |
スズメバチの幼虫が作るマユ(ホーネットシルク、以下HSと略す)について、HSを構成する4種類のタンパク質(Vs1~4)を人工的に合成し、構造を調べ、HSの人工生産系の基盤を築くことが本研究の目的である。初年度は、Vs1~4のタンパク質を高効率で生産する条件の検討を行った。昨年度は、Vsに細胞接着機能を有するペプチド(Arg-Gly-Asp-Ser(RGDS))を導入することによる機能性付加についての検討を行い、細胞接着性を顕著に向上させることに成功した。最終年度の本年度は、Vsの表面構造の解析と機能性との関係と、天然のHSとの構造比較を行った。 Vssilk1-4をコードするDNAをpETベクター(Novagen製)に挿入し、それぞれの組換えベクターを得た。これらを用いてRosetta2(DE3)大腸菌(Novagen製)を形質転換し、25、28、31℃の下、それぞれ48、24、24時間培養した。大腸菌をBugBuster Master Mix(Novagen製)で処理することで封入体を得た。 Vs1~4はすべてヘキサフロロイソプロパノール(HFIP)に可溶であり、乾燥直後に形成されるフィルム中ではαヘリックスを形成していた。その後、エタノールに漬すとβシートへの構造転移が起こったが、αヘリックスも一部残った。こうした構造変化は天然HSの挙動と一致した。各pHにおけるζポテンシャルを測定した結果、等電点(pI)はVs1,2,3,4の順にそれぞれ 8.9、9.1、5.0、4.2であった。こららの値は、アミノ酸配列から計算されるpIの理論値10.29、10.18、5.76、4.38と全てよく一致した。生理条件(pH 7.4)下で表面電荷が正に帯電しているVs1と2は高い細胞接着活性を示した。
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