• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2012 Fiscal Year Research-status Report

植物の元素集積・元素獲得特性の多様性

Research Project

Project/Area Number 24580088
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

渡部 敏裕  北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60360939)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywordsイオノーム / 土壌 / アルミニウム / 集積植物 / 可給度 / 国際情報交換(ドイツ)
Research Abstract

【研究1】北大植物園に生育する植物種群の葉に含まれる元素の分析
北海道大学植物園に生育する植物種1000種弱について葉のサンプリングを行い、元素の網羅的な解析を行った。その結果、必須元素含有率の植物種間における変動と比べて、非必須元素含有率の変動は遥かに大きいことが明らかになった。種間における変動が大きかった複数元素について各目レベルでの平均含有率を算出し、それらを変数として主成分分析を行った。その結果、原始的な植物は元素集積傾向が特異的である一方で、被子植物では同じクレイドに含まれる目で類似した集積の傾向がしばしば認められた。興味深いことに、Al、Na、As、Ni、Cd等、それらの元素が要因となっている不良土壌が世界的に分布している元素で特に種間での含有率変動が大きかった。
【研究2】異なる土壌環境で生育する植物とその土壌の分析
異なる化学性を持つ土壌について水抽出、塩酸抽出(0.1M、1M)、酢酸緩衝液抽出、酢酸アンモニウム溶液抽出、硝酸分解の各方法で元素の網羅的な分析を行い、そこで栽培したトウモロコシの葉の含有率との相関を各元素で調べた。その結果、鉄は酢酸アンモニウム溶液抽出との相関が高い一方、マンガンは0.1M塩酸抽出との相関が高かった。一方、カドミウムについては塩酸抽出よりもその他の抽出法の方が相関係数が高く、特に水抽出との相関が高かった。その他の微量元素についてはほとんどで相関が低く、単一の抽出方法、あるいは単一の元素データだけ(吸収における元素間相互作用があるため)で植物にとっての可給態元素レベルを評価するのは困難であると考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究1に関しては植物のサンプリングは概ね計画通りに行うことができ、分析・解析も順調である。ただ、無機アニオンについてはサンプルの状態が分析困難な場合も多々あり(粘度が高い等)、うまく進んでいない。これについては測定可能な種に限定してデータを出して行きたい。一方で、25年度以降に計画されていたAl耐性機構において重要な機構の一つである体内でのAl複合体形成が、植物進化と共にどのように変化していったのかを明らかにするための予備的な実験にはすでに着手している。研究2に関してはトウモロコシのデータしか得られておらず、やや不十分である。

Strategy for Future Research Activity

【研究1】北大植物園に生育する植物種群の葉に含まれる元素の分析
24年度の結果で種間での含有率変動が特に大きかったアルミニウムとナトリウムに焦点を絞った実験を行う。通常、イオノーム解析では元素の濃度(レベル)のみを対象としており、その形態は考慮していない。しかし、植物の代謝を考える上では、形態も重要な因子である。そこで、まずはアルミニウムに注目し、その形態が種間でどのような変動を示すのかを27Al NMRなどの手法で明らかにする。ナトリウムに関しては比較的多くの科が葉にナトリウムを多く集積することがこれまでの研究で明らかとなっている。これらのナトリウム超集積性は塩濃度の高い土壌に適応した結果と考えられるが、実際の塩類土壌は乾燥地の塩類土壌、海岸の塩類土壌など異なる環境で発達しており、それら異なる環境で進化を遂げた植物種は異なる塩集積・耐性を示すと予想される。そこで、異なる好塩性、耐塩性機構を持つことが予想されるいくつかの植物種について、好塩性、耐塩性機構を明らかにする。また、これまでに得られた結果から国際学術誌に論文を投稿する。
【研究2】異なる土壌環境で生育する植物とその土壌の分析
日本各地で採取したいくつかの植物種およびその生育土壌について、元素組成を調べる。土壌についてはこれまで同様、様々な抽出法を試みる。得られたデータから各植物種の元素含有率と相関が高い土壌パラメーターを明らかにする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

24年度は当初の計画よりも分析に遅れが生じ、分析のために支出する予定の一部予算(物品費、謝金等)を25年度に回すこととなった。サンプルの準備状況については整いつつあり、25年度中に順次測定を行う予定である。
25年度分として請求する予算については、各種分析に関わる物品費、謝金に加え、国際植物栄養科学会議(トルコ)、日本土壌肥料学会名古屋大会、共同研究先等への旅費に多くの予算を割いている。またその他として論文投稿に関わる費用(英文校閲費含む)も計上した。

  • Research Products

    (4 results)

All 2012

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Metabolite profiling of mizuna (Brassica rapa L. var. Nipponsinica) to evaluate the effects of organic matter amendments2012

    • Author(s)
      Watanabe A, Okazaki K, Watanabe T, Osaki M and Shinano T.
    • Journal Title

      Journal of Agricultural and Food Chemistry

      Volume: 61 Pages: 1009-1016

    • DOI

      10.1021/jf3039132

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Ionome of soybean seed affected by previous cropping with mycorrhizal plant and manure application2012

    • Author(s)
      Sha Z, Oka N, Watanabe T, Tampubolon B, Okazaki K, Osaki M and Shinano T.
    • Journal Title

      Journal of Agricultural and Food Chemistry

      Volume: 60 Pages: 9543-9552

    • DOI

      10.1021/jf3024744

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 窒素欠乏下における作物のモリブデン集積特性2012

    • Author(s)
      岡田遼介・渡部敏裕・浦山勝・海野佑介・信濃卓郎・大崎満
    • Organizer
      日本土壌肥料学会北海道支部大会
    • Place of Presentation
      北海道大学(札幌)
    • Year and Date
      20121205-20121205
  • [Presentation] 植物イオノミクスの基礎と応用2012

    • Author(s)
      渡部敏裕
    • Organizer
      日本土壌肥料学会鳥取大会
    • Place of Presentation
      鳥取大学(鳥取)
    • Year and Date
      20120906-20120906
    • Invited

URL: 

Published: 2014-07-24  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi