2012 Fiscal Year Research-status Report
イネのエネルギー代謝物の流量制御を司るオルガネラ輸送体の機能解析
Project/Area Number |
24580094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
野澤 彰 愛媛大学, 学内共同利用施設等, 講師 (30432800)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖リン酸輸送体 / ミトコンドリアキャリア / コムギ無細胞系 / リポソーム |
Research Abstract |
今年度はアイスプラントの4種の糖リン酸輸送体、McTPT1、McPPT1、McGPT1およびMcGPT2の機能解析を行った。リポソーム添加型コムギ無細胞合成系を用い、これら4種のタンパク質の合成を試み、4種全てのタンパク質を合成できること、また合成されたタンパク質はリポソーム膜上に合成されることを確認した。合成が確認された4種の輸送体をプロテオリポソームに再構成しリン酸のホモ交換輸送活性を測定した。その結果、4種全ての輸送体においてリン酸輸送活性が検出され、4種全てのタンパク質が機能型タンパク質として合成されていることが確認された。次に、4種の輸送体タンパク質の基質特異性を解析した。その結果、McTPTはジヒドロキシアセトンリン酸に、McPPT1はホスホエノールピルビン酸に、McGPT1とMcGPT2はグルコース6リン酸に対する高い輸送活性を示すことが明らかになった。本実験でMcTPT1、McPPT1、McGPT1およびMcGPT2の基質特異性が明らかになったことから、これまでに報告されているこれら4つの輸送体をコードする遺伝子の発現様式に関する情報とを統合し、アイスプラントのCAM型光合成におけるこれら4種の糖リン酸輸送体の役割を議論した論文を作成し現在投稿中である。また、イネのゲノムを解析し、イネゲノム中には2種のGPT遺伝子が存在することを確認した。2種の遺伝子をOsGPT1、OsGPT2と命名し、それぞれのcDNAを単離した。成熟型タンパク質をコードする部分を無細胞発現用ベクターに組込みリポソーム添加型無細胞合成法によりタンパク質を調製し、プロテオリポソームに再構成し、リン酸のホモ交換輸送活性を測定した。その結果、どちらのタンパク質もリン酸輸送活性を示すことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イネGPTタンパク質のキシロース5リン酸輸送活性を測定し、双子葉植物のキシロース5リン酸輸送体との輸送活性の比較を行う予定だったが、試薬メーカーであるSigmaがキシロース5リン酸を販売してくれないので、実験が行えない状態にある。Sigma側からは、世界中からある程度注文数が入った所で製造・販売してくれると連絡を受けているが、注文から10ヶ月たった現在も製造してもらえるとの連絡は受けていない。
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Strategy for Future Research Activity |
イネGPTタンパク質のキシロース5リン酸輸送活性の測定に関しては、基質のキシロース5リン酸を自前で合成することを検討する。また、今年度は糖リン酸輸送体に加えミトコンドリアキャリアタンパク質の研究も進めて行く予定である。イネミトコンドリアキャリアの中からTCA回路の中間代謝産物とATPの輸送に関与すると推定される7種のタンパク質に絞って輸送基質特異性の解析を行う。これらと並行して、無細胞系を基盤とした膜輸送体タンパク質の機能解析系の改良と、基質が明らかになっていないミトコンドリアキャリアタンパク質に対して基質の探索を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年3月末に参加した学会の旅費の支払いが4月になったために2012年度分の予算の一部・旅費分が2013年度に繰り越されることとなった。繰越分118500円は2013年4月中に旅費として支出されることになっています。
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