2013 Fiscal Year Research-status Report
イネのエネルギー代謝物の流量制御を司るオルガネラ輸送体の機能解析
Project/Area Number |
24580094
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
野澤 彰 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 講師 (30432800)
|
Keywords | ミトコンドリアキャリア / 糖リン酸輸送体 / リポソーム / 無細胞タンパク質合成系 / オルガネラ |
Research Abstract |
本課題では、エネルギー代謝に関係する分子の輸送に関与するオルガネラの輸送体タンパク質として葉緑体内膜局在型の糖リン酸輸送体とミトコンドリア内膜局在のミトコンドリアキャリアの機能解析を行うことを目的として研究を行なっている。今年度は、アイスプラントの4種の糖リン酸輸送体について基質特異性を明らかにし、CAM型光合成におけるそれぞれの役割について議論した結果について論文として発表した。また、酵母、シロイヌナズナ、マラリア原虫やシゾンのミトコンドリアキャリアについて再構成したリポソームの脂質組成の輸送活性に対するに影響を解析した。その結果、ほとんどのミトコンドリアキャリアの活性はミトコンドリア内膜に特異的に存在するカルジオリピンの添加により上昇するのに対し、一部のミトコンドリアキャリアにはそのような影響がみられなかった。カルジオリピンによる輸送活性の活性化が見られなかったものはミトコンドリア内膜以外に局在している可能性が考えられた。これらの結果は、膜輸送体タンパク質の活性に脂質組成が重大な影響を与えることと膜輸送体タンパク質は進化の過程で周囲の膜脂質環境に適応していることを示唆している。現在、これらの結果について論文を作成しており26年中に投稿する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な植物葉緑体内膜局在型の糖リン酸輸送体とミトコンドリア内膜局在のミトコンドリアキャリアについて解析が進んでいる。シゾンのミトコンドリアキャリアに関してはゲノム中に31種の遺伝子が存在することを見出し、それら全てのcDNAの取得を完了し、それら全てが無細胞系で合成できることを確認した。また、シゾンはシゾンに特異的なミトコンドリアキャリアを有しており、輸送活性に対する脂質組成の影響が他の植物と異なるなど興味深い知見が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ミトコンドリアキャリアに関しては引き続き、シロイヌナズナとシゾンについて機能解析を進め基質特異性や脂質組成の影響について明らかにしていく予定である。それぞれのミトコンドリアキャリアの働きと脂質組成の活性に対する影響について26年度中に結果をまとめて論文を作成し投稿する予定である。イネの糖リン酸輸送体に関してはSigma社に注文している輸送基質が製造保留中で納入されないことから、この状態が続くようであれば自前で基質を合成し調達することを検討する。イネの糖リン酸輸送体の研究に関しては輸送基質を決定し次第その結果を論文として投稿する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
イネ糖リン酸輸送体の活性測定用に発注していた輸送基質が25年度内に届かなかったため輸送基質購入費用と活性測定用試薬費用および物品費用を繰り越すこととなった。 繰越分に関しては予定通り、輸送活性の測定用試薬費用および物品費用として使用する。
|
Research Products
(3 results)