2013 Fiscal Year Research-status Report
出芽酵母を用いた多価不飽和脂肪酸の生理機能解析とストレス耐性化への応用
Project/Area Number |
24580109
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 晃一 京都大学, 微生物科学寄附研究部門, 准教授 (90282615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 純 京都大学, 微生物科学寄附研究部門, 教授 (00343822)
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Keywords | 微生物 / 出芽酵母 / 脂肪酸 / ステロール / 芳香族アミノ酸 / ストレス耐性 |
Research Abstract |
我々は様々な脂肪酸を人為的に蓄積させた酵母におけるストレス耐性を評価することで、脂肪酸種とストレス耐性の関係性について解析を進めている。平成25年度は、ATPを利用して遊離脂肪酸とCoAからアシルCoAを合成し、脂質の変換や蓄積に重要な役割を果たすアシルCoA合成酵素を発現させた場合の影響について調べた。更に、細胞膜に含まれるステロール(酵母の場合はエルゴステロール)が様々な環境ストレスへの耐性に関わる可能性が示唆されているため、ステロールの影響についても解析を開始した。出芽酵母に油脂生産性糸状菌Mortierella alpina由来のアシルCoA合成酵素を発現させると、大変興味深いことに、酸化ストレスを誘導する過酸化水素に対する耐性が有意に増強された。今後、蓄積された脂質の種類とストレス耐性の関係について詳細な解析を進める予定である。また、ステロールとストレス耐性との関係を明らかにする目的で、エルゴステロールおよびその合成中間体を蓄積する株の作成を試みている。現在、酵母の様々なエルゴステロール合成酵素遺伝子(ERG1~9、11、12、19、20、24~28、IDI1)を過剰発現する株を作成し、細胞内の脂質組成について解析を進めている。更に、酵母のストレス耐性機構について解析を進める過程で、細胞内の芳香族アミノ酸が酵母の環境ストレス耐性に不可欠な役割を果たしていることが見えてきた。これまでに報告のない全く新しい現象であるため、芳香族アミノ酸とストレス耐性との関係についても解析を進めている。これまでに、冷凍耐性にはトリプトファンが、アルコール耐性と酸耐性にはチロシンが重要な役割を果たすことを見いだしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
酵母に油脂生産性糸状菌Mortierella alpina由来の不飽和脂肪酸合成酵素を発現させると目的とする不飽和脂肪酸の産生が見いだせるものの、その量がとても少なく、生理機能の解析に用いるレベルには達していない。これまでにプロモーターの種類やコピー数を変更するなどして遺伝子の発現量の調節を試みているが、まだうまくいっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今回解析を開始したアシルCoA合成酵素は細胞内の脂肪酸蓄積量に影響を与えることが示唆されているため、目的とする不飽和脂肪酸の蓄積量の増加に効果があることを期待している。また、不飽和脂肪酸の解析が遅れているため、ステロールや芳香族アミノ酸によるストレス耐性化機構についての解析も平行して進めることとした。
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Research Products
(5 results)