2012 Fiscal Year Research-status Report
アクリル酸生産関連遺伝子の分子機能解析とアクリル酸生産バイオプロセスへの展開
Project/Area Number |
24580110
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
麻生 祐司 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (70380590)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | アクリル酸 / 代謝工学 / 発酵工学 / バイオベースマテリアル |
Research Abstract |
アクリル酸生産野生株Megasphaera elsdenii JCM1772のゲノムシーケンスから、アクリル酸生産関連遺伝子(pct(プロピオン酸-CoA転移酵素遺伝子)およびlcdCAB(ラクチル-CoA脱水酵素遺伝子))を同定した。M. elsdenii JCM1772のゲノムを鋳型としてPCRによりpctおよびlcdCABを1つのオペロンとして増幅後、発現ベクターpTV118NにクローニングしpTV-pct-lcdCABを得た。これを用いてE. coli JW0885を形質転換しE. coli JW0885(pTV-pct-lcdCAB)を得た。また、pctおよびlcdCABをそれぞれpET system用発現ベクターpETHisにクローニングしpETHis-pctとpET-lcdCABを得た。これらを用いてE. coli JW0885(DE3)(pLysS)を形質転換しE. coli JW0885(DE3)(pETHis-pct, pLysS)およびE. coli JW0885(DE3)(pET-lcdCAB, pLysS)を得た。E. coli JW0885(pTV-pct-lcdCAB)を用いた場合、PctおよびLcdCABの明確な発現の確認はできなかったが、グルコースからのアクリル酸の生産を確認できた。このとき、培養液中のアクリル酸濃度は0.01 g/L、対糖収率は0.9%であった。よって、Pctがアクリル酸-CoA転移酵素として機能している可能性が示唆された。一方、E. coli JW0885(DE3)(pETHis-pct, pLysS)およびE. coli JW0885(DE3)(pET-lcdCAB, pLysS)を用いた場合、PctとLcdCABが高発現することを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、①pctおよびlcdAB遺伝子の機能解析、②PctおよびLcdAB酵素の機能解析、③アクリル酸-CoA転移酵素とアクリル酸トランスポーターの同定を達成する予定であった。このうち、①については、Megasphaera elsdenii JCM1772のゲノムシーケンスからpctおよびlcdAB遺伝子を同定し相同解析することである程度達成できた。②については、大腸菌でのPctおよびLcdCABの発現量が低く、実施に至っていない。③については、Pctがアクリル酸-CoA転移酵素として機能している可能性が示された一方で、アクリル酸トランスポーターの同定には至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
大腸菌でのPctおよびLcdCABの発現法を改良し発現量を増加させることでPctおよびLcdCABの機能解析を行うとともに、Megasphaera elsdenii JCM1772にTn変異を導入しアクリル酸トランスポーターの同定を行うことで、今年度に達成できなかった課題を解決する。また、今年度は当初の予定通り、アクリル酸生産関連遺伝子の乳酸高生産菌への導入と、バイオマス資化酵素の細胞表層ディスプレイを行い、アクリル酸生産性を高めるとともに、バイオマスからの直接発酵生産法の確立を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ計画通りに研究費を使用できた。しかし、一部の消耗品に関して、キャンペーン価格の商品があり、当初見積もりよりも安く購入することができたため、当該研究費が生じた。当該研究費は次年度に必要な大腸菌でのPctおよびLcdCABの発現量を高めるための新たな発現用ベクターの購入費に充てる。
|
Research Products
(9 results)