2013 Fiscal Year Research-status Report
アクリル酸生産関連遺伝子の分子機能解析とアクリル酸生産バイオプロセスへの展開
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24580110
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
麻生 祐司 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (70380590)
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Keywords | アクリル酸 / 代謝工学 / 発酵工学 / バイオベースマテリアル |
Research Abstract |
アクリル酸生産株Megasphaera elsdenii JCM1772由来アクリル酸生産関連遺伝子(pct(プロピオン酸-CoA転移酵素遺伝子)およびlcdCAB(ラクチル-CoA脱水酵素遺伝子))を発現ベクターpETDuet-1にクローニングしpETDuet-pct-lcdCABを得た。これを用いて大腸菌E. coli JW0885を形質転換した。SDS-PAGEにより、得られた形質転換体にてPctおよびLcdCABの発現を確認した。得られた形質転換体をを用いて、パントテン酸添加M9培地にて嫌気的に18h培養した。経時的に培養液上清をサンプリングしアクリル酸量、乳酸量、培養液濁度、残存グルコース量を測定した結果、アクリル酸生産量の増加および乳酸量,残存グルコース量の減少を確認した。培養終了後のアクリル酸生産量は0.17mMであった。次に、GC-MSを用いて培養液上清を分析したところ、アクリル酸と一致するピークパターンが得られた。よって、作製した形質転換体はアクリル酸を生産していることを確認した。さらに、NICE systemによる発現系を用いて、乳酸菌におけるPctおよびLcdCABの発現を試みた。具体的には、pctおよびlcdCABを乳酸菌用発現ベクターpNZ8048にクローニングしpNZ-pct-lcdCABを得た。これを用いて乳酸菌Lactococcus lactis NZ9000を形質転換した。SDS-PAGEにより、得られた形質転換体にてPctおよびLcdCABの発現を確認した。また、デンプンからのアクリル酸直接発酵生産を目的として、Bacillus amyloliquefaciensを由来とするアミラーゼを発現ベクターpVUB3を用いて大腸菌表層に発現させた。本発現ベクターを用いることでデンプンを唯一炭素源として大腸菌を培養することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画においては、アクリル酸生産経路の乳酸高生産菌への付与とバイオマス資化能の強化を行うことを目的としている。アクリル酸生産関連遺伝子の乳酸高生産菌への導入においては、NICE systemを用いて乳酸菌を形質転換し、PctとLcdCABの高発現を確認した。また、バイオマス資化酵素の細胞表層ディスプレイにおいては、種々のアミラーゼの大腸菌の表層発現とこれを用いたデンプンを唯一炭素源とした培養に成功した。このように、当初計画と比較しておおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
更なるアクリル酸高生産株の取得とアクリル酸発酵生産システムの開発を目指す。具体的には、Lactobacillus delbrueckiiなどのD-乳酸高生産菌へのアクリル酸生産関連遺伝子の導入を行う。次に、アクリル酸生産のための至適培養条件(培地、温度など)の検討を行う。その後、ジャーファーメンターを用いたスケールアップ培養により、アクリル酸の高生産連続培養を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一部の消耗品に関して、キャンペーン価格の商品があり、当初見積もりよりも安く購入 することができたため。 当該研究費は次年度に必要なアクリル酸高生産発酵瀬システムの開発のための培地の購入費に充てる。
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Research Products
(6 results)