2013 Fiscal Year Research-status Report
超低栄養性細菌に見いだされた新規オルガネラ、オリゴボディーの解析
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24580111
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
吉田 信行 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10273848)
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Keywords | 低栄養性細菌 / ポリリン酸 |
Research Abstract |
前年度、オリゴボディーの光学顕微鏡を用いた可視化に成功し、またオリゴボディーの内容物がポリリン酸である可能性を示した。しかしながら、オリゴボディーにポリリン酸が蓄積しているということは明らかにしていない。 25年度はオリゴボディーとポリリン酸との関連性を調べることを目的とした。まず、低栄養生育させたN9T-4株の細胞を透過型電子顕微鏡で観察し、さらにエネルギー分散型X線解析によりオリゴボディーの元素分析を行った。その結果、オリゴボディーにはリンとカリウムが顕著に蓄積していることが分かった。これはオリゴボディーにポリリン酸が蓄積していることを裏付けるものであり、カリウムの蓄積はポリリン酸のカウンターイオンとしてカリウムイオンが関与していることを示唆するものである。 これでオリゴボディーの内容物がポリリン酸である可能性が強まったが、ポリリン酸からなら細胞内顆粒自体は珍しいものではない。生物学的リン酸除去に使用されるリン蓄積微生物は細胞内にポリリン酸の顆粒を形成する。ただし、これらの場合その顆粒は細胞内に不特定多数存在する。N9T-4株のオリゴボディーは細胞内に1つだけ形成され、まれに2つ形成される場合もあるが、その場合は細胞分裂を伴う場合である。従って、細胞にとって何らかの重要な役割を果たしているものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請研究の大きな目標はN9T-4株のオリゴボディーの生理学的意義の解明である。その意味では本年度の研究で、オリゴボディーの内容物をポリリン酸と同定できたことは評価できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ポリリン酸の合成に関与する遺伝子の検索、破壊など、オリゴボディーとポリリン酸との関連性について検討を進めたい。さらに、本年度も検討したが、不成功に終わっている、細胞からのオリゴボディーの単離も試みたいと考えている。このように、分子生物学的、細胞生物学的な検討を進め、オリゴボディーの生理学的役割を解明したい。
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Research Products
(6 results)