2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580112
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
石川 周 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (30359872)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞分裂 / 枯草菌 / SepF / EzrA / FtsA / FtsZ |
Research Abstract |
細菌の細胞分裂はFtsZがリング構造を形成し、分裂が進行する。しかし、細胞分裂装置として働くためにはFtsZを細胞膜に繋ぎとめる蛋白質が必須である。枯草菌では、FtsA、SepF、EzrAがその役割を担っていると考えられているが、どの因子がどの程度寄与しているかは不明である。本年度では、①「FtsA、SepF、EzrAで細胞分裂装置として働くために最低限必要な因子の特定と評価」、②「EzrAはFtsAに直接結合し、Z-ring形成を制御するというモデルの検証」を行った。 ①申請者らは「EzrAはFtsAに直接結合しZ-ring形成を制御する」というモデルを提唱してきたが、これが正しければ、これまで破壊できないとされてきたsepF-ezrAの2重破壊や、ftsA-sepF-ezrAの3重破壊株は、FtsAを過剰生産すると可能である。今回、この仮説を立証することができた。 ②pull-down assayによりEzrA複合体を精製するとFtsZ、FtsA、SepFが共精製される。これまで、ftsA破壊株ではFtsZが共精製されないことを発見し、EzrA-FtsZ間の結合はFtsAを介したものでるという仮説を立てるきっかけとなった。しかし、FtsZが共精製できないのは、ftsA破壊株では細胞分裂が強く阻害されることが原因である可能性も考えられる。そこで、SepFを過剰発現させ、Z-ring形成効率を野生株レベルまで回復させたうえでEzrAの複合体解析を行った。その結果、この条件でも同様にFtsZは共精製されなかった。EzrAの細胞内局在に関して、仮説がただしければFtsAが存在しない場合にはEzrAはZ-ringに局在できないはずである。そこで免疫蛍光顕微鏡により検証した。その結果、FtsAが存在しないとEzrAはFtsZが局在する細胞分裂面に局在できないことを証明できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
24年度の計画が早くに結論が出たので、25年度に計画していた「FtsZ-SepF間の相互作用を失う変異を酵母2ハイブリッド解析(Y2H)によりスクリーニングする」を行った。その結果、FtsZと相互作用を失う変異型SepFは、すべて保存されたC末端領域にみられた。また、SepFをドメインに分けたY2Hの結果から、C末端はFtsZとの相互作用領域であるとともに、SepFと相互作用する領域であることを明らかにした。また、イギリス・ニューキャッスル大学のLeendert W. Hamoenらと協力し、SepFの立体構造、細胞膜への結合能も詳細に解析した。これらのデータに基づき、SepFがFtsZを膜へアンカーするモデルを提唱することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
SepFに関しては、イギリス・ニューキャッスル大学のLeendert W. Hamoenらと共著の論文を投稿予定である。 EzrAの研究に関しては、当初の予定通りFtsA-EzrA間の相互作用を失う変異を酵母2ハイブリッド解析により特定、その変異を枯草菌に導入し、表現型、蛋白質複合体の解析、蛋白質の細胞内局在を観察し、どの領域・アミノ酸が相互作用に関わっているかを決定する。 さらにEzrAの研究に関しては、FtsZと直接相互作用するという論文が多数発表されている。この内容をひるがえすためには、過去の実験を検証する必要があるので検証実験を追加する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた海外の学会参加へ参加せず、論文の投稿も間に合わなかったのが主な理由である。次年度では、研究成果を発表するために、論文を少なくとも二報、海外への学会参加も予定している。
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