2012 Fiscal Year Research-status Report
ピルビン酸低減清酒酵母のピルビン酸低減メカニズムの解明
Project/Area Number |
24580117
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
北垣 浩志 佐賀大学, 農学部, 准教授 (70372208)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 清酒 / 酵母 / ピルビン酸 / 低アルコール清酒 / ゲノム / 次世代シークエンサー |
Research Abstract |
低アルコール清酒を製造するときには、清酒醸造の途中で固液分離するが、その際にピルビン酸やαアセト乳酸が残存して貯蔵中に非酵素的にジアセチルに酸化的に脱炭酸されてしまう。生成したジアセチルはジアセチル臭を呈するため、低アルコール清酒の品質を低下させてしまっていた。そこでこの技術課題を解決するために、清酒酵母を突然変異処理後、ピルビン酸のミトコンドリアへの輸送阻害剤ethyl alpha-transcyanocinnamate耐性株を分離し、低ピルビン酸清酒酵母を育種してきた。しかしこの株においてピルビン酸の低減をもたらす遺伝子変異は明らかになっておらず、この研究成果のさらなる応用の障害となってきた。そこで本年度の研究においては、次世代ゲノムシークエンサーを用いて低ピルビン酸清酒酵母のゲノム解析を行った。その結果、3000個を超えるSNPが抽出されたが、低ピルビン酸でない清酒酵母のゲノムと比較することで低ピルビン酸をもたらす遺伝子変異として13個のSNPに絞り込むことができた。これらの遺伝子変異を含む遺伝子断片を親株に形質転換してethyl alpha-transcyanocinnamate耐性を調べることで、遺伝子変異を特定する予定である。これらの次世代ゲノム解析技術を使ったゲノム解析プロセスを日本生物工学会等で発表することで発酵業界で発酵微生物のゲノム解析のノウハウを共有することに務めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ピルビン酸低減清酒酵母の次世代ゲノムシークエンサーを使ったゲノム解析を行い、さらにその結果のin silico解析によりピルビン酸の低減をもたらす遺伝子変異の候補を13個にまで絞り込むことができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代ゲノムシークエンサーを使って得られたピルビン酸の低減をもたらす13個の遺伝子変異を含む遺伝子断片をPCRで増幅し、親株の清酒酵母に形質転換してピルビン酸のミトコンドリアへの輸送阻害剤ethyl alpha-transcynnamateへの耐性で選抜する。このことによりethyl alpha-transcynnamate耐性及びピルビン酸の低減をもたらす遺伝子変異が特定できると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
酵母培養試薬、形質転換試薬、PCR酵素、分子生物学試薬、ピルビン酸及び有機酸解析消耗品等に用いる。
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Research Products
(30 results)