2014 Fiscal Year Annual Research Report
電気生理の手法を用いた微生物のイオン排出システムの解析と新規排出システムの創製
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24580124
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
川崎 寿 東京電機大学, 工学部, 教授 (90349788)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 排出 / 代謝工学 / 合成生物学 / 発酵 / Corynebacterium / チャネル / パッチクランプ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な有用化合物を生産する微生物細胞工場の創製が望まれているが、目的有用化合物の全てに対してそれを特異的に細胞外へ排出する担体が予め天然に存在する可能性は低いと考えられる。また、その合理的デザインも現時点では極めて困難である。このことは、目的化合物の生合成経路がデザインされた微生物細胞工場が期待通りの性能を発揮できない場合の原因のひとつと考えられ、この問題の解決のためのブレークスルーが求められている。 本研究で我々は、グルタミン酸の工業生産に用いられているCorynebacterium glutamicumのグルタミン酸生産への関与が示されていた遺伝子について、我々が独自に開発した微生物パッチクランプシステムを活用した解析によって、当該遺伝子産物が直接グルタミン酸排出を担っていること、その排出にはグルタミン酸の濃度勾配以外のエネルギーは必ずしも必要が無いことを明らかにした(BBB, 76, 1422 (2012))。また、このタンパク質がグルタミン酸以外にも、同様の負電荷を有するAsp、大きな側鎖を有するPhe(実際の実験に用いたものは、その誘導体であるフェニルプロピオン酸)、正電荷を有するLysも、それらの濃度勾配のみで輸送することを明らかにした(投稿準備中)。更に、C. glutamicumにおいてグルタミン酸生産を誘導する変異型当該遺伝子をE. coliのPhe生産菌、Lys生産菌、イノシン生産菌に導入すると、いずれの生産菌においても生産性が向上することを見出した(投稿準備中)。上記は、当該タンパク質が様々な物質の排出担体として有用である可能性を強く示すものである。 本研究成果は上記問題の解決法のひとつとなる可能性があり、システム生物学や合成生物学の手法を活用した有用化合物を生産する微生物細胞工場の創製に大きく貢献すると考えられる。
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Research Products
(4 results)