2012 Fiscal Year Research-status Report
腸を酸化ストレスから防御するプロバイオティックス乳酸菌の開発
Project/Area Number |
24580125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
新村 洋一 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (00180563)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 乳酸菌 / 過酸化水素 / 過酸化脂質 / 過酸化水素分解 / 過酸化脂質分解 / プロバイオティックス / Mg-catalase / NADH peroxidase |
Research Abstract |
本申請の最終目標は、生きて腸内に到達し、腸内の過酸化脂質と過酸化水素を迅速に分解する乳酸菌株の機能開発である。 プロバイオティックス分野で、多種の乳酸菌開発が報告されているが、菌体外の過酸化物を分解する菌株開発の報告は、一般微生物界においても見いだせなかった。従って本申請では、目的株の分離からスタートし、既に過酸化脂質分解菌(L. plan. P2株)と過酸化水素分解菌(P. pent. Be1株)を分離後、本年度は分解関与の各過酸化物還元酵素系を精製を試み、両株の全関与酵素完全精製に成功した。 P. pent. Be1株は、Mg-catalase, NADH peroxidase, NADH alkylperoxide reductase(仮称), NADH oxidaseを有し、L. plan. P2株は、NADH peroxidase, 2種のNADH alkylperoxide reductase(仮称), NADH oxidaseを有していた。各精製酵素の反応解析(反応生成物、Km, Vmax)の結果、過酸化水素分解力の強いP. pent. Be1株は、2個の強力な過酸化水素分解酵素を持ち、過酸化脂質分解力の強い菌 L. plan. P2株は、2個の強力な過酸化脂質分解酵素NADH alkylperoxide reductase(仮称) を持っていた。 本年度は、3個の過酸脂質分解酵素遺伝子のクローニングと発現系の構築し、大量培養からの精製に成功した。単一タンパクで、NADHを電子供与体として過酸化脂質を還元する酵素の報告はなく、NADH alkylperoxide reductase(仮称)は新規酵素の可能性が大である。次年度は過酸化物分解反応安全性確認のための、それを用いた反応解析、バイオアッセイ系の確立が必要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
過酸化脂質分解菌(L. plan. P2株)と過酸化水素分解菌(P. pent. Be1株)から、3個の過酸脂質分解酵素遺伝子のクローニング、発現系の構築、大量培養からの精製に成功した。本酵素は、新規酵素の可能性が大である。 乳酸菌は、一般に酸化ストレスに弱いと考えられたが、新酵素の発見で新たな乳酸菌のプロバイティックスへの応用の可能性が期待できる。 本酵素系は新酵素のために、過酸化物分解反応の安全性確認のために、反応解析が必要となるため、次年度に反応解析も行う。
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Strategy for Future Research Activity |
過酸化脂質分解菌(L. plan. P2株)と過酸化水素分解菌(P. pent. Be1株)新規酵素の可能性が大であるため、本年度で精製した酵素標品を用いて、過酸化物分解反応安全性確認のために、反応解析を行う。必要によっては結晶解析と酵素の変異体の作製と反応解析も視野に入れる。過酸化脂質の還元反応では、中間体としてラジカルを生じる可能性があるため、反応解析では、反応中間体の安定性も視野に入れて行う。結晶解析は通常の結晶化の他、過酸化脂質を結合する基質結合体の解析も行う予定である。 さらに次年度は、分離株の培養条件と菌体調製法の改良による活性強化を試み、改良条件に基づき高活性菌体を取得する。腸内環境に即したバイオアッセイ系を線虫で構築する。酸化ストレスとしては、早老化性線虫の使用を計画しており、確立した高活性菌体を用いて、活性評価を行う予定である。線虫は、酸に弱いため乳酸菌の出す乳酸を中和する系が必要なため、緩衝系の導入を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の新たな発見により。次年度は、新実験系として酵素の反応解析、線虫実験のための、培養系の構築のための新たな試薬を購入する必要がある。必要によっては、結晶解析用、変異酵素作製のため試薬も必要となる。施設的には完成しているので、消耗品代となるが、本年度の繰越金を次年度の新規実験の費用に使用する予定である。
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