2012 Fiscal Year Research-status Report
高度な安定性を有するコレステロール酸化酵素の触媒機構の解明と高活性化
Project/Area Number |
24580127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
道久 則之 東洋大学, 生命科学部, 教授 (60302957)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コレステロールオキシダーゼ / 臨床検査 / コレステロール |
Research Abstract |
これまでに、既知の微生物由来のコレステロールオキシダーゼ(以下、COXと略す)の中で、最も高い熱安定性、界面活性耐性、有機溶媒耐性を示すCOX (Chromobacterium sp.DS-1株由来)の探索に成功し、酵素化学的諸性質の解析、遺伝子解析、X線結晶解析による立体構造の解析を行ってきた。本研究では、本COXの触媒活性に関与する部位を同定して触媒機構を解明し、それらの知見をもとに、高安定かつ高活性なCOXを創製することを目的とした。X線結晶解析によるDS-1株由来COXの立体構造(Sagermann et al., J Struct Biol 170:32-40 (2010))から、本酵素はBrevibacterium sterolicum 由来のCOXの構造と類似性が認められたので、Brevibacterium sterolicum 由来のCOXの構造をもとに、活性に関与すると予想されるDS-1株由来COXのアミノ酸残基E299、E445、R447などを部位特異的変異導入法によって他のアミノ酸に置換した変異体酵素を作製した。E299A、E299Q、E299D発現用プラスミド、E445A、E445Q、E445D発現用プラスミドおよびR447A、R447K発現用プラスミドを構築した。これらのプラスミドを、大腸菌に導入して発現させ、COXを精製した。E299A、E445D、E445A、R447Aでは発現量が著しく低下しており、精製を行うことができなかった。精製できたE299Q、E299A、E445Q、R447Kにおいて反応速度論的解析を行った結果、いずれの変異体においても野性型COXと比較して触媒効率が大きく低下しており、これらのアミノ酸がChromobacterium sp.DS-1由来COXの触媒活性に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、熱、界面活性剤、有機溶媒に対して高い安定性を示すChromobacterium sp.DS-1株由来のコレステロールオキシダーゼ(COX)の触媒活性に関与する部位を同定して触媒機構を解明し、それらの知見をもとに、高安定かつ高活性なCOXを創製することである。本酵素と類似性のあるBrevibacterium sterolicum 由来のCOXの構造をもとに、活性に関与すると予想されるDS-1株由来COXのアミノ酸残基を推定し、部位特異的変異導入法によって他のアミノ酸に置換した変異体酵素を作製し、反応速度論的解析を行った。この結果、触媒活性に関与していることが示唆されるアミノ酸を同定することができたことから、おおむね順調に進展できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
DS-1株由来COXの触媒活性や安定性には、補酵素であるフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)近傍のアミノ酸が関与するものと考えられる。そこで、FAD近傍のアミノ酸を部位特異的変異導入法によって他のアミノ酸に置換した変異体酵素を作製し、反応速度論的解析を行い、活性や安定性への影響を調べる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
交付申請書の通り試薬等の購入で執行予定である。
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