2013 Fiscal Year Research-status Report
放線菌群の腐植質代謝に基づく土壌微生物共生構造の新たな理解
Project/Area Number |
24580128
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
上田 賢志 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00277401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 英晃 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (50385994)
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Keywords | Streptomyces / humic acid / respiration / electron transfer / differentiation / secondary metabolism |
Research Abstract |
腐植酸の利用に基づく顕著な代謝活性を示す放線菌株の取得を目的として、培地に添加した腐植酸の黒色を脱色する性質を示す菌株を広く検索した。その結果、明確な脱色活性を示す菌株を10株以上単離した。また、Streptomyces ghanaensisならびにいくつかの自然界分離放線菌には、腐植質を強力に凝集させる活性が存在することを見いだした。特に、S. ghanaensisによる凝集活性は顕著で、紫外線照射で得られた分化能欠損変異株はそのほとんどが凝集活性も失っていたことから、気中菌糸への分化と制御的に連動していることが予想された。 遺伝的取り扱いのモデル株であるStreptomyces coelicolorA3(2)が示す微弱ではあるが明瞭な腐植酸脱色活性について、その単離を試みたところ、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼと予想される蛋白質が複数得られた。本酵素は、色素を還元脱色する活性(ジアホラーゼ活性)を有していることから、細胞膜に局在し腐植質の特定の構造を還元することでエネルギーを生成する全く新しい代謝機能を有している可能性が想起される。多くの自然界分離株の細胞外画分には細胞内のそれより見かけの分子量が小さいジアホラーゼ活性が認められたことから、放線菌において広く本酵素が細胞外に輸送されているものと考えられた。これらの結果から、一つの可能性として腐植質の還元を介したエネルギー代謝系が放線菌に普遍的に存在することが予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腐植酸の利用に基づく放線菌の増殖と代謝に介在する可能性がある具体的な酵素と遺伝子を同定できた点で成果があがったと考えている。一方、遺伝子破壊による明確な形質変化が認められないなど、これらの遺伝子の役割に関する知見の収集には今後さらに検討を要する。呼吸に関与する遺伝子群の破壊株について、その細胞内ATP蓄積と分化開始の連携については、その有意な関連を示す予備的な観察を複数得ることに成功している点で成果が上がっている。一方で、細胞内ATPレベルがいかに関連代謝遺伝子群の発現を調節しているかについては、その制御に直接関わる因子の同定が重要な課題として残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
腐植酸の利用性に関する検証については、これまでに顕著かつ特異的な現象として認められたS. ghanaensisによる腐植酸の凝集ならびにS. coelicolorによる腐植酸の脱色について、それに有意に関連すると予想される酵素と遺伝子にフォーカスし、その機能と役割を明確にすることを中心に研究を推進する。呼吸・エネルギー代謝と分化との連携については、細胞内ATPレベルを信号とする転写調節系の存在が見込まれることから、その制御に直接関与する因子の同定に焦点を絞った遺伝学生化学的実験と探索を推進する。
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Research Products
(1 results)