2014 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌群の腐植質代謝に基づく土壌微生物共生構造の新たな理解
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24580128
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
上田 賢志 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00277401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 英晃 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (50385994)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Streptomyces / humic acid / respiration / electron transfer / differentiation / secondary metabolism |
Outline of Annual Research Achievements |
Streptomyces coelicolor A3(2)をBennett’s maltose (BM)培地で培養した後の上清中に腐植酸の脱色活性が認められ、それを腐植酸の脱色活性を指標に精製した結果、最終的にジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(PdhL)のホモログ(SCO2180)が得られた。大腸菌で発現・精製した組換えSCO2180は、ジクロロフェノールインドフェノール(DCIP)やニトロブルーテトラゾリウム(NBT)に対し、NADH依存的還元活性(ジアホラーゼ活性)を示したことから、S. coelicolorによる腐植酸の脱色には本酵素の酸化還元活性が関与しているものと推察された。 次に、ジアホラーゼ活性に着目した酵素精製と機能解析を行った。BM培地で培養後のS. coelicolorの培養上清には、DCIP還元活性およびNBT還元活性が認められた。NBTの還元活性を指標として本培養上清からの酵素精製を行った結果、硫安分画と4ステップのカラムクロマトグラフィーで、2 Lの培地から最終的に0.16 mgのSCO2180が精製された。一方、DCIPを指標として同様な精製を行ったところ、SCO2180のホモログであるSCO4919が、フルクトース二リン酸アルドラーゼ(SCO3649)とおよそ1:1の混合物として粗精製された。これら酵素の基質特異性を検討した結果、前者はリポアミドに比較的高い還元活性を示すのに対し、SCO4919は本基質にほとんど作用しないことが明らかとなった。これらの結果は、本菌が少なくとも2種類のジアホラーゼを菌体外に産生することを実証するとともに、SCO4919が一般的なリポアミドデヒドロゲナーゼとは異なる、未知の機能を有することを示唆している。一方、SCO2180は、遺伝子を破壊すると過酸化水素に対する耐性が顕著に低下することが判明し、本酵素が本菌の酸化ストレス耐性に直接もしくは間接的に関与していることが示された。
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Research Products
(3 results)