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2013 Fiscal Year Research-status Report

麹菌の細胞内ポリリン酸代謝とストレス応答等における機能の解明

Research Project

Project/Area Number 24580132
Research InstitutionNational Agriculture and Food Research Organization

Principal Investigator

楠本 憲一  独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所応用微生物研究領域, 上席研究員 (80353978)

Keywords麹菌 / ポリリン酸代謝
Research Abstract

当該年度では、麹菌ゲノム情報(http://www.bio.nite.go.jp/dogan/project/view/AO)から抽出した、酵母のポリリン酸代謝に関わる酵素遺伝子のオルソログ(相同遺伝子)について、麹菌の当該遺伝子破壊株を取得することを目的とした。ポリリン酸の合成酵素遺伝子(ポリリン酸ポリメラーゼ)としては、出芽酵母においてvacuolar transporter chaperone(VTC complex)内部にポリリン酸ポリメラーゼドメインが含まれていることを受けて、AO090012000979 (vtc2及びvtc3のオルソログ)、AO090011000795 (vtc4 オルソログ)、AO090012000916(vtc1 オルソログ)の3種類を対象とする。また、ポリリン酸の分解酵素遺伝子として、AO090102000550{ppx1 (エキソポリホスファターゼ) オルソログ}及びAO090038000274{ppn1 (エンドポリホスファターゼ) オルソログ}の2種類を対象とした。
これら5種類の遺伝子の破壊株候補を、麹菌のPEG法による形質転換により取得した。具体的には、pyrGマーカー遺伝子により標的遺伝子を置換するため、標的遺伝子のコーディング領域範囲外の領域を両端に有し、その間をマーカー遺伝子で置換した遺伝子破壊カセットをフュージョンPCR法により作製した。その後、当該DNAを形質転換により導入し、遺伝子破壊株の取得を試みた。 得られた破壊株候補について、選択培地上で継代培養を行うことで株を純化した後、ゲノムDNAを抽出し、各遺伝子の保有の有無、遺伝子破壊領域の確認をPCR法等により実施した。その結果、5種類のポリリン酸代謝関連遺伝子それぞれについて、遺伝子破壊株の取得に成功した。そこで、形質転換株取得の際に、最少培地におけるプレート培養での生育速度や胞子形成力の観察を行った。その結果、これらの特性は対照株と同等であった。このことから、生育速度や胞子形成力といった麹菌の基本的な特性はポリリン酸代謝関連遺伝子の破壊により変化しないことが考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当該年度においては、酵母のポリリン酸代謝に関わる酵素遺伝子のオルソログ(相同遺伝子)について、麹菌の当該遺伝子破壊株を取得すると共に、生育速度や胞子形成力等の観察を行い、既知の情報と比較を行う計画としていた。計画のとおり、5種類のポリリン酸代謝関連遺伝子の破壊株を取得し、当該破壊株の最少培地におけるプレート培養での生育速度や胞子形成力の観察を行った結果、これらの特性は対照株と同等であった。麹菌は醸造産業における酵素生産のスターター微生物として利用されるため、生育速度や胞子形成力は麹菌の基本的な特性であると共に、産業上の重要な形質である。上述した遺伝子破壊により細胞内ポリリン酸蓄積量が変動している可能性が考えられ、当該遺伝子破壊とポリリン酸量の関係については、平成26年度で明らかにする。また、遺伝子破壊による、酸化等のストレス応答への影響の有無についても、併せて解明する。
このように、当該年度における計画にしたがって研究を実施し、一定の結果が得られたため、現在までの達成度はおおむね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

当該年度においては、計画のとおり5種類のポリリン酸代謝関連遺伝子の破壊株を取得し、当該破壊株の生育速度や胞子形成力が対照株と同等であることを明らかにすることができた。当該遺伝子破壊により細胞内ポリリン酸蓄積量が変動している可能性が考えられ、当該遺伝子破壊とポリリン酸量の関係については、平成26年度で明らかにする。また、酸化等のストレス負荷培養環境における遺伝子破壊株の生育速度や胞子形成に与える影響は、糸状菌でほとんど知られていないため、解明が進めば研究成果が持つ重要性は大きい。出芽酵母では、特定の培養条件における細胞の生育が親株とポリリン酸分解酵素遺伝子破壊株で異なるとの結果が報告されている。従来の糸状菌に関する知見がないポリリン酸動態情報やその生理機能が麹菌で明らかになれば、データを取りまとめて、論文投稿を行う。
麹菌において、ポリリン酸の蓄積量が固体培養における酸化等のストレス応答に与える影響、また、その蓄積量と生育速度や胞子形成への関連が解明されることにより、麹菌を利用する醸造産業に本研究の成果をフィードバックできると期待される。

  • Research Products

    (1 results)

All 2013

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 麹菌Aspergillus oryzaeのポリリン酸代謝とストレス応答2013

    • Author(s)
      多田功生、大口ひかる、楠本憲一
    • Organizer
      第13回糸状菌分子生物学コンファレンス
    • Place of Presentation
      文部科学省研究交流センター(茨城県)
    • Year and Date
      20131120-20131120

URL: 

Published: 2015-05-28  

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