2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580139
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松尾 道憲 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00335308)
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Keywords | ABCタンパク質 / コレステロール / モジュレーター / 脂質 / トランスポーター |
Research Abstract |
細胞の余剰脂質を排出するABCGタンパク質の翻訳後制御機構は、ほとんど分かっていない。脂質恒常性の制御とその破綻としてのメタボリックシンドロームの解明には、細胞内の翻訳後機能制御機構を明らかにする必要がある。そこで、細胞内におけるABCGタンパク質の脂質排出を制御する新規の機構を明らかにすることで、生体の脂質恒常性制御の機構を解明することを目的として実験を行った。 1、ABCG1 とコレステロール合成関連タンパク群との相互作用の解析 ABCG1がコレステロール合成の律速段階を触媒するHMG-CoA reductaseと相互作用することを見出した。さらに、ABCG1がHMG-CoA reductaseの活性を抑制することを明らかにした。このことから、ABCG1がトランスポーターとして機能するだけでなく、コレステロール合成の制御にも機能することを示した。これは、コレステロール合成制御タンパク質とABCG1によるコレステロール排出が統合的に制御される可能性を示唆する。 2、脂肪酸によるABCG タンパク質機能制御 昨年度の研究成果を発展させ、脂肪酸によるABCGタンパク質の機能制御を調べた。多価不飽和脂肪酸は、ABCG1の転写を少し促進する一方、タンパク量や活性には大きな影響が無いことを明らかにした。しかし、ABCG1によって産生される高密度リポタンパク質の特性に影響することが分かった。また、様々な脂肪酸のうち、リノレン酸由来の脂肪酸がABCG1の活性を促進することをモジュレータースクリーニング実験で見出し、翻訳後制御も関与することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初年度計画に沿った研究を行っており、計画内容については予定通りに進行している。さらに、ABCG1とHMG-CoA reductaseの相互作用など思いがけない発見も見られた。脂肪酸による機能制御も計画以上の成果を出している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究成果を元に研究計画通りに行う。コレステロール合成関連タンパク質及び脂肪酸とABCGタンパク質機能については成果をまとめていく。ABCG1のリン酸化制御について、さらに詳細な解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ABCG1に対するモジュレータースクリーニングにおいて、早期にターゲットが絞りこめたため、他の様々な物質に関して詳細な作用機構解明実験を行う必要が無くなり、そのための消耗品費が次年度使用額として残った。 ABCG1以外のモジュレータースクリーニングも展開し、そのための消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(7 results)