2012 Fiscal Year Research-status Report
ビフィズス菌のアラビノガラクタンープロテイン代謝機構に関わる糖質分解酵素群の解析
Project/Area Number |
24580144
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤田 清貴 鹿児島大学, 農学部, 助教 (20381189)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖質分解酵素 / プレバイオティクス / アラビノガラクタン-プロテイン / ビフィズス菌 / 腸内細菌 / II型アラビノガラクタン / ガラクトース / アラビノース |
Research Abstract |
本年度は、ビフィズス菌Bifidobacterium longumが有するアラビノガラクタン-プロテイン(AGP)に対する分解酵素群のうち、糖質分解酵素(GH)ファミリー43に属すエキソ-β-1,3-ガラクタナーゼ(BLLJ_1840)の諸性質の解析を中心に研究を行った。大腸菌で発現させた組換えBLLJ_1840タンパク質をβ-1,3-ガラクトオリゴ糖に作用させたところ、ガラクトース(Gal)の遊離が確認できた。一方、β-1,4とβ-1,6-ガラクトオリゴ糖には作用しなかった。本酵素の至適pHは5.5、至適温度は40℃であった。AGPと類似した構造を有するカラマツ由来のII型アラビノガラクタン(II型AG)を基質として用いて遊離糖の解析を行った結果、Gal、β-1,6-Gal2、β-1,6-Gal3、β-1,6-Gal4、L-アラビノース(L-Ara)で修飾されたβ-1,6-Gal3が同定された。糸状菌や放線菌で報告されているエキソ-β-1,3-ガラクタナーゼが側鎖を除去したβ-1,3-ガラクタンに対する反応性が最も高いのに対して、本酵素はβ-1,3-ガラクタンよりβ-1,3-β-1,6-ガラクタンに対して9倍程度高い反応性を有していた。以上の結果、BLLJ_1840は側鎖が付加されたβ-1,3-ガラクタン主鎖を非還元末端側から切断するエキソ-β-1,3-ガラクタナーゼであることが明らかとなった。また、本酵素はL-Araが付加しているII型AGに対しては低い反応性を示したことから、側鎖を分解する他の酵素群と協調的に働くことで、効率的にII型AGを分解できるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、GH43 エキソ-β-1,3-ガラクタナーゼ(BLLJ_1840)と共に、アラビノガラクタン-プロテイン(AGP) を協調的に分解している複数の分解酵素の解析を同時に進める予定であったが、天然基質からのオリゴ糖の調製に手間取り解析にまで至っていない。ただし、酵素群の中で最も主要な働きをすると考えられるBLLJ_1840の諸性質の解析は既に完了した。今後、他の酵素群の解析を重点的に進めることで当初の目的は達成可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度はGH30 エンド-β-1,6-ガラクタナーゼ(BLLJ_1841)と GH127β-L-アラビノフラノシダーゼ(BLLJ_1848)を中心に酵素化学的諸性質の解析を進める。さらに、GH43α-L-アラビノフラノシダーゼ(BLLJ_1854)のクローニングと大腸菌での発現解析を行う。既に天然基質からのオリゴ糖の調製を完了している。また、数多くの酵素のクローニング及び諸性質の解析を達成するため、雇用済みの研究協力者1名に加え、大学院生1名と学部4年生2名の研究体制により同時並行で進める予定である。このため、これらの酵素群の解析は予定通り進むと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に繰り越す研究費が生じた状況は、天然基質からのオリゴ糖の調製が当初の予定通り進まなかった結果、研究の進展が遅れたことに起因するものである。25年度に請求する研究費と合わせた使用計画として、研究協力者1名を雇用するための人件費として180万程度の支出を予定している。また、消耗品を購入するための物品費として20万円程度の支出を予定している。
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