2013 Fiscal Year Research-status Report
ビフィズス菌のアラビノガラクタンープロテイン代謝機構に関わる糖質分解酵素群の解析
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24580144
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤田 清貴 鹿児島大学, 農学部, 助教 (20381189)
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Keywords | 糖質分解酵素 / プレバイオティクス / アラビノガラクタン-プロテイン / ビフィズス菌 / 腸内細菌 / II型アラビノガラクタン / ガラクトース / アラビノース |
Research Abstract |
本年度は、ビフィズス菌Bifidobacterium longumが有するアラビノガラクタン-プロテイン(AGP)に対する分解酵素群のうち、糖質分解酵素(GH)ファミリー30に属すエンド-β-1,6-ガラクタナーゼ(BLLJ_1841)の諸性質の解析を中心に研究を行った。大腸菌で発現させた133kDaの組換えBLLJ_1841タンパク質をβ-1,6-ガラクトオリゴ糖に作用させたところ、β-1,6-ガラクトビオース(β-1,6-Gal2)の遊離が確認できた。一方、β-1,3とβ-1,4-ガラクトオリゴ糖には作用しなかった。本酵素の至適pHは4.5、至適温度は40℃であった。AGPと類似した構造を有するカラマツ由来のII型アラビノガラクタン(LWAG)と部分酸分解LWAGを基質として用いて遊離糖の解析を行った結果、LWAGと部分酸分解LWAGからβ-1,6-Gal2のみが遊離された。その相対活性は部分酸分解LWAGを100%とした場合、LWAGで13.3%であった。また、β-1,6-ガラクトオリゴ糖にB.longum培養菌体を作用させたところ、β-1,6-Gal2の生成を確認したことからエンド-β-1,6-ガラクタナーゼが菌体表層に局在していると考えられる。さらに、転写量解析を行った結果、LWAGを炭素源とした培養菌体でグルコース培養菌体の32倍の転写量であった。また、遺伝子クラスターを形成しているエキソ-β-1,3-ガラクタナーゼ(BLLJ_1840)では、109倍もの転写量の増加が確認された。以上の結果、エンド-β-1,6-ガラクタナーゼとエキソ-β-1,3-ガラクタナーゼがII型アラビノガラクタン存在下で転写誘導され、II型AGに対して協調的に作用することで効率的に分解しているものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、GH30 エンド-β-1,6-ガラクタナーゼ(BLLJ_1841)と共に、アラビノガラクタン-プロテイン(AGP) を協調的に分解していると予想されたGH127β-L-アラビノフラノシダーゼ(BLLJ_1848)とGH43α-L-アラビノフラノシダーゼ(BLLJ_1854)を解析する予定であったが、BLLJ_1841の諸性質と転写量の解析を優先的に進めたため、BLLJ_1848と1854の解析をすることが出来なかった。ただし、エンド-β-1,6-ガラクタナーゼとエキソ-β-1,3-ガラクタナーゼの解析の結果、ビフィズス菌におけるAGP分解酵素群の主要な働きを明らかにすることができた。今後、これらの酵素の働きを補う役割を有する酵素群の解析を重点的に進めることで当初の目的は達成可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度はGH43α-L-アラビノフラノシダーゼ(BLLJ_1854)と GH127β-L-アラビノフラノシダーゼ(BLLJ_1848)を中心にクローニング及び酵素化学的諸性質の解析を進める。これらの酵素のクローニング及び諸性質の解析を達成するため、雇用済みの研究協力者1名に加え、大学院生1名と学部4年生2名の研究体制により同時並行で進める予定である。このため、本酵素群の解析は予定通り進むと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に繰り越す研究費が生じた状況は、転写量解析を優先した結果、新たな酵素のクローニング及び酵素化学的諸性質の解析が当初の予定通り進まなかったことに起因するものである。 26年度に請求する研究費と合わせた使用計画として、研究協力者1名を雇用するための人件費として97万程度の支出を予定している。また、消耗品を購入するための物品費として10万円程度の支出を予定している。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Crystal structure of glycoside hydrolase family 127 β-L-arabinofuranosidase from Bifidobacterium longum.2014
Author(s)
Ito, T., Saikawa, K., Kim, S., Fujita, K., Ishiwata, A., Kaeothip, S., Arakawa, T., Wakagi, T., Beckham G. T., Ito, Y., and Fushinobu, S.
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Journal Title
Biochem. Biophys. Res. Commun.
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed
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[Journal Article] Preparation of p-nitrophenyl β-L-arabinofuranoside as a substrate of β-L-arabinofuranosidase.2013
Author(s)
Kaeothip, S., Ishiwata, A., Ito, T., Fushinobu, S., Fujita, K., and Ito, Y.
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Journal Title
Carbohydr. Res.
Volume: 382
Pages: 95-100
DOI
Peer Reviewed
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