2012 Fiscal Year Research-status Report
様々な骨格筋収縮パターンを再現する培養細胞系の創製とその応用
Project/Area Number |
24580147
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
根建 拓 東洋大学, 生命科学部, 教授 (50375200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 英夫 東洋大学, 生命科学部, 教授 (50416921)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞工学 / シグナル伝達 / 骨格筋 / Sirtuin |
Research Abstract |
本研究計画の主題は、骨格筋で生じる様々な収縮様式を培養細胞系で再現し、収縮様式の違いから生じる細胞応答を包括的に理解することにある。本年度は、主に各種収縮様式を模した実験系の作製を行うことを達成目標とした。まず、マウス筋芽細胞C2C12の培養条件・分化条件を設定した後に、電気パルス刺激を付与して運動効果が生じることを確認した。その後、シリコンチャンバーにC2C12細胞を播種することを試みたが、チャンバーへの細胞接着の状況が一定せず、再現性のある結果を得ることが困難な状況となった。現在、この問題を解決するために各種細胞外マトリクスの添加やシリコンの表面加工など再現性の高い細胞接着を実現するための方法を検討している。一方、本研究を推進する過程で興味深い結果が得られた。これまでに、運動によってSIRT1の活性や発現量が増加し、PGC1aの機能を亢進することでミトコンドリア生合成を増加することが報告されている。一方、SIRT1の機能亢進は筋分化に対して負の効果を持つため、運動依存的な筋量増加との矛盾が未解決問題として残されていた。本研究で使用しているin vitro運動刺激系を用いて、様々な条件での運動を与えたところ、「長時間」の運動によっては、SIRT1機能が逆に低下することがはじめて明らかとなった。また、このSIRT1の機能低下は、細胞外にある程度のグルコースが存在している時のみ観察されたことから、細胞外栄養と運動のクロストークによって制御されていることも明らかとなった(データの一部を平成24年度の国際学会にて発表)。SIRT1は、細胞の運命制御に重要な因子として知られており、骨格筋の代謝・分化などにも重要な働きを持つことが分かっている。今後、様々な骨格筋収縮様式を再現した後に解析する標的分子としてSIRT1を同定できたことは重要な進展であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要でも述べたように、条件検討の部分から骨格筋の運動効果を仲介する分子としてSIRT1を同定し、はじめて運動によってSIRT1の機能低下が生じること、さらにはその機能低下条件の詳細を明らかにできたことは大きな進展であると考えられる(平成25年度に学会発表予定)。一方、各種収縮様式を再現するために必須であるシリコンチャンバーへの細胞接着の問題を解決しきれていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、細胞外マトリクスやチャンバーの表面加工などに加え、市販シリコン樹脂を用いた自作チャンバーの作製などを通して問題解決にあたりたいと考えている。また、今回発見したSIRT1の機能低下については、「平成25年度以降の研究計画・方法」に記載した糖代謝機能や細胞ストレス応答にも重要な分子であることが報告されているため、実験系の構築を行う際に、長時間収縮によるSIRT1機能低下に伴う細胞応答についても解析することで、本研究計画の目標達成に資する結果が得られるのではないかと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
来年度も一般消耗品費を中心に支出を考える。 また収縮様式の再現技術を国内学会で報告するための旅費を計上する。
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Research Products
(1 results)