2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580152
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
吉田 雪子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 主任研究員 (90271543)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ユビキチンリガーゼ / F-boxタンパク質 / タンパク質分解 |
Research Abstract |
分解されるべき標的分子を見分けユビキチンを付加するユビキチンリガーゼは、様々な生体反応において重要な役割を担うユビキチン・プロテアソームシステムの要となる分子である。複合体型リガーゼとして知られるSCF型ユビキチンリガーゼの基質認識サブユニットF-boxタンパク質はヒトでは70種類存在するが、それら多くの標的分子は未知である。本研究はこれまで未知であったF-boxタンパク質の機能を解明する事を目的とするものである。 我々は糖鎖を認識するF-boxタンパク質Fbs1,2,3について研究を進めてきたが、これらのF-boxタンパク質と相同性が高いものの糖鎖とは結合しない機能未知のFbxo17について平成24年度は解析を進めた。これまでに開発した安定にF-boxタンパク質と基質との結合を見ることができるアダプタータンパク質Skp1の変異体を用いる系により、Fbxo17は多様なRNA結合タンパク質と結合することを見出した。これらのRNA結合タンパク質はストレス顆粒と呼ばれる様々なストレス条件下で一過性に生じる細胞質顆粒に含まれるものであったため、Fbxo17遺伝子をノックダウンしてみたところ、ストレス時にストレス顆粒の形成が遅くなる現象を見出している。Fbxo17と結合するRNA結合タンパク質は数十種類に及び、複合体を形成しているためユビキチン化を受ける標的を見出すのは困難であるため、さらに、細胞内で効率よくユビキチン化蛋白質を検出する系を新たに作出し、これを用いて標的分子の詳細な検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機能未知のFbxo17の結合タンパク質の同定から、細胞のストレス時に一過性に形成されるストレス顆粒の形成に関与することを見出した。 しかし、特異的な結合タンパク質が数十にも及び複合体を形成しているものであったため、ユビキチン化される標的を決めるのは困難であり、そのため、新たにユビキチン化そのものを検出し単離する系を作出した。この系と結合タンパク質同定の2つの系を用いることで、多くのF-boxタンパク質の基質の同定が可能になることが期待されるため、当初の予定から変更はあったものの、新たな系の作出は今後の研究の推進に有利となるものと考えられたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、F-box蛋白質との結合蛋白質を見出す系に加え、細胞内でユビキチン化蛋白質を安定に抽出する系を作出した。第一にこの系が多くのユビキチンリガーゼの基質探索に普遍的に用いることができることを示すために、基質が既知であるSkp2, Fbxw7などを用いてそのユビキチン化蛋白質の同定を行う。その上でFbxo17の標的分子を同定し、どのようにストレス顆粒形成に寄与するのかを明らかとしていく。さらに、Fbxo44をはじめとする機能未知のF-box蛋白質の標的分子を、結合蛋白質とユビキチン化蛋白質の両面からスクリーニングしその機能の解明を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子のクローニング、細胞への遺伝子のトランスフェクション、免疫沈降、ウエスタンブロッティング、パルスチェイスなどの、細胞生物学・分子生物学実験を引き続き行っていくため、細胞培養用培地・ディッシュ・ボトルなどのプラスチック器具、トランスフェクション試薬、ノックダウン実験のためのsiRNAと得られた標的分子や新規F-boxタンパク質に対する特異抗体などの消耗品を物品費として使用する。また、成果報告のために学会参加のための旅費、並びに成果報告のための別刷りの印刷費も使用する予定である。
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Research Products
(1 results)