2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580152
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
吉田 雪子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 主任研究員 (90271543)
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Keywords | ユビキチンリガーゼ / F-boxタンパク質 / ユビキチン / プロテオミクス |
Research Abstract |
分解されるべき標的分子を見分けユビキチンを付加する酵素「ユビキチンリガーゼ」は、広範な生命現象の制御を担うユビキチン・プロテアソームシステムの要となる分子である。複合体型リガーゼとして知られるSCF型ユビキチンリガーゼの基質認識サブユニットF-boxタンパク質はヒトでは約70種類存在するが、半分以上のF-boxタンパク質の標的分子は明らかにされていない。本研究はこれまで未知であったF-boxタンパク質の機能を解明することを目的とする。 常法に則りF-boxタンパク質と結合するものの中から基質のスクリーニングを行うべく、基質と安定に結合できる変異体を作成して研究を進めてきたが、25年度はより積極的に目的とするF-boxタンパク質によりユビキチン化を受けた標的タンパク質を抽出・同定する方法を新たに開発し、その検証を行った。 生体内において、ポリユビキチン化されたタンパク質はプロテアソームにより速やかに分解され、またポリユビキチン鎖は脱ユビキチン化酵素により取り除かれてしまうため、ユビキチン化基質を単離し同定することは困難であった。今回開発したUbiquitin-catcher法は、試験管内でポリユビキチン化タンパク質を濃縮するアフィニティプローブとして報告のあったTUBEを利用した物で、タグ付きトリプシン耐性型のTUBE変異体(Ub-catcher)を培養細胞に発現させる方法である。この方法により阻害剤非存在下でも、ユビキチン化タンパク質を細胞内に安定に蓄積させ、免疫沈降により濃縮することに成功している。また目的とするF-boxタンパク質との共発現によりユビキチン化した標的分子の蓄積量がかなり増加した。免疫沈降物のトリプシン分解物をユビキチンシグニチャーであるdiGlyに対する抗体で二次濃縮したものを質量分析により解析することで、効率よく標的分子の同定を行うことが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度のスクリーニング法の開発は当初の計画には無かったものはであるが、これまで万能な方法のなかったユビキチン化基質の効率よい同定法の開発に成功したため、今後の研究の発展に生かすことができる。基質がわかっているF-boxタンパク質を用いて既知の基質のみならず、新たな基質の同定も可能である事が分かったので、当初の計画にあるF-boxタンパク質の基質の網羅的解析に道が開けた。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに開発したユビキチン化基質同定法Ubiquitin-Catcher法を用いて、これまで機能未知であったF-boxタンパク質の基質を網羅的に同定・解析を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度はスクリーニング系の確立を行い成功したため、来年度はこれを用いて網羅的解析を行っていく予定である。そのためには多くの抗体が必要であり、今年度予算から次年度へそちらの解析に用いるための物品費へ移行させた。 物品費(抗体などのタンパク質の解析試薬)に充足する予定である。
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Research Products
(4 results)