2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナラ類集団枯損の防除物質の探索とその利用可能性について
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24580154
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
塩野 義人 山形大学, 農学部, 教授 (80361278)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナラ枯れ / ナラ菌 / ブナシメジ / Cytosporone E / Antimicrobial activity, / Cytospora sp. / Microdiplodia sp. / macrophorin A |
Outline of Annual Research Achievements |
ナラ枯れは、カシノナガキクイムシとナラ菌 (Raffaelea quercivora) により誘導される樹木萎凋病である。ナラ枯れの被害が拡大すると、森林の水源かん養機能が失われ、土砂災害などの公益機能の低下を引き起こす。そのため、ナラ枯れの被害を最小限にとどめる方策が検討されている。本研究では、主に新たなナラ枯れ病原菌の生育抑制物質を得るために、①ナラ枯れ罹病木や②樹木に生息する微生物を原料に、ナラ菌に対する抗菌活性作用を有する微生物をスクリーニングし、それらの菌類が生産するなら枯れ病菌に対する生育阻害物質を単離した。 ① ナラ枯れ罹病木より糸状菌約 50 株を分離し、それぞれの培養物について、ナラ菌に対する生育阻害活性試験を行った。その結果、糸状菌 TT-10 (Cytospora sp) とTT-12 (Microdiplodia sp.)株に阻害活性が見られたため、それぞれの菌株の生産する活性物質を明らかにすることとした。その結果、TT-10 株TT-12 株から、それぞれ、活性物質として、ラクトンを有するサイトスポロン E の新しい誘導体や新しいマクロフォリンAの誘導体を単離した。 ②5 種の食用キノコの培養菌糸体について調べた結果、ブナシメジ (Hypsizygus marmoreus) の培養抽出物において、ナラ枯れ病原菌に対する生育阻害活性が認められ、活性物質として、既知の 2(E)-decen-4,6,8-triyn-1-olを明らかにした。 また、①の単離物質の希釈溶液をナラ幼苗に噴霧した場合において、生育阻害活性は示さなかったことから、ナラ枯れ病に対する抑制効果を示すと考えられる。
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Research Products
(2 results)