2012 Fiscal Year Research-status Report
食用植物からのアミロイドβ凝集阻害物質の探索と作用機序の解明
Project/Area Number |
24580156
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
繁森 英幸 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70202108)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | カフェオイルキナ酸 / Aβ凝集阻害活性 / アルツハイマー症 / Th-T / サツマイモ / コーヒー / プロポリス / 記憶障害改善 |
Research Abstract |
研究代表者らは、これまでにサツマイモ、プロポリス、コーヒー等に含まれるカフェオイルキナ酸が、アルツハイマー型認知症の毒素であるアミロイドβ(Aβ)による神経細胞死を保護する作用のあること、また記憶障害モデルマウスを用いた経口投与実験で顕著な記憶障害改善作用のあることを見出した。さらに最近、カフェオイルキナ酸(CQA)類にアミロイドβ凝集阻害活性があることを見出したことから、本研究では食用植物から新たなアミロイドβ凝集阻害物質を探索するとともに生物有機化学的手法を用いてカフェオイルキナ酸類や新たに見出したアミロイドβ凝集阻害物質の作用機序を解明することで、アルツハイマー型認知症に対する予防や治療薬の開発に貢献することを目的とする。そこで本研究では、すでにAβ凝集阻害活性を有する化合物として、プロポリスから見出したCQA類によるAβ凝集阻害活性の機構を調べた。まず、キナ酸およびカフェ酸を出発原料として種々のCQA類を化学合成し、天然物から単離した化合物と併せて11種類のCQA類を活性試験に用いた。これらの化合物のTh-T試験を行ったところ、カフェオイル基の数とカテコール構造の水酸基が活性発現には重要であることを見出した。次に、最も活性の高かった4,5-di-O-caffeoylquinic acid (4,5-di-CQA)と3,4,5-tri-O-caffeoylquinic acid (3,4,5-tri-CQA)を用いて、TEMによる観察ならびにCDスペクトルによるAβのコンホメーション変化を調べた結果、Aβの凝集が阻害されていることが明らかとなった。さらに、ウェスタンブロッティング法を用いてAβのオリゴマー形成への影響を調べた結果、4,5-di-CQA ならびに3,4,5-tri-CQAによってAβのオリゴマー形成が抑制されていることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カフェオイルキナ酸(CQA)類の構造活性相関研究により、目的としていたAβ凝集阻害活性における活性部位を見出すことに成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
Th-T試験法を活用して、他の食用植物からカフェオイルキナ酸(CQA)以外のAβ凝集阻害物質を探索する。また、CQAにおけるカテコール部分の重要性を調べるために、酸化や還元環境下でのAβとの作用を調べる。一方、凝集阻害物質による神経細胞保護活性の仮説として、このような活性物質がAβのコンホメーションを変化させることが指摘されている。そこで毒性コンホマーの存在比が多いとされるE22P変異体および22,23番目のターン構造をラクタムにより固定した配座アナログ体(両ペプチド化合物は連携研究者により作製)を用いて、ウェスタンブロッティング法によりCQA類によるオリゴマー形成への影響を調べる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アミロイドβの調製費、Th-T試験、TEM、CDスペクトル法ならびにウェスタンブロッティング法を行うための試薬類、構造解析に関わる分析機器使用料として研究費を使用する。
|