2012 Fiscal Year Research-status Report
炭素転位反応を伴う奇異なテルペン環化酵素反応機構の解析
Project/Area Number |
24580159
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
川出 洋 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20291916)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | テルペノイド |
Research Abstract |
イソプレンユニット毎にC-13安定同位体元素を標識したプレニル2リン酸の酵素合成(イソプレンアイソトポマー=iUIの酵素合成)に成功し、合計3種類のiUI基質を得た。これらを使って麹菌由来のテルペン合成酵素との環化反応を行い、C-13 NMR測定を行なった。C-13 NMRスペクトルの部位特異的標識パターンを解析し、標識/無標識のラベリングパターンから炭素ー炭素の開裂とC-C転位のメカニズムを提案することが出来た。これによって、類似のジテルペン骨格の形成機構もiUIを用いた今回の実験結果と照合するとうまく説明することができるので、環化機構解析の新たな手法を確立することが出来たと判断した。 Tigliane型ジテルペン骨格形成酵素遺伝子のクローニングを進める上で、トウダイグサ科植物の炭化水素分析は有用な手がかりを得るための重要なデータになりうる。そこで、地上部を材料にして炭化水素類のGC-MS分析を行なった。その結果、tigliane骨格を推測させるピークが観測されてきた。一方、カスベン合成酵素遺伝子の存在が知られているので、これを指標に遺伝子クローニングの準備に着手した。同時に、次世代シーケンサで分析するためのサンプル調製も準備に取りかかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アイソトポマーによる環化機構(C-C転位反応を伴う反応メカニズム)に関する実験は、論文作成に足るデータを得ることができた。現在、投稿論文原稿を執筆中である。 Tigliane型ジテルペンの合成酵素遺伝子のクローニングについては、tigliane型ジテルペン炭化水素の標品もなく文献も存在しないことから、その基礎となるデータの収集のために植物体の炭化水素分析を行なったが、候補化合物のピーク検出ができた。このピークが真に標的化合物であるかどうかは、精密分析や無細胞抽出系による変換実験が必要である。遺伝子クローニングは、カスベン合成酵素遺伝子のクローニング(部分配列)が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
アイソトポマーを用いた炭素転位反応を伴う環化機構の論文は、次年度中に投稿を行ない、受理・公表を目指す。 Tigliane型ジテルペンの合成酵素遺伝子の取得と環化機構については、引き続き研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に次世代シーケンサの分析を行なわなかったので、次年度使用額の研究費を発生させた。この額と翌年度以降に請求する研究費を合算し、その一部を次世代シーケンサを用いた解析費用に充てる。酵素合成ー完全C-13標識化合物のNMR測定は、所属機関に設置のNMRが機種更新によりアプリケーションが一新され、一次元、二次元NMR解析が行なえるようになった。三次元NMR解析が必要な場合には、引き続き理化学研究所横浜研究所のNMR開放事業(先端研究施設共用促進事業)を利用することが可能である。
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Research Products
(2 results)